ロマンニュース第2話『巨人』にまつわる物語
世界中の巨人伝説には意外と共通点がある。
神々よりも古い存在で、神々の父や母である場合もあること。
大地の創造にかかわる巨人も多い。
「巨人の伝承」は日本を含め、ほとんどの文明圏に伝わっている。
どうして人は巨人の伝説を生みだしたのだろうか?
西洋の巨人について
東洋の巨人について
童話に登場する巨人たち
日本における巨人伝説
実在した巨大人類と歴史上で最高身長の人間について
人間が巨物にロマンを求める理由
人間はなぜ巨大なものに心惹かれるのか
子供の頃の夏、入道雲を見てビックリした記憶はないでしょうか?
あるいは、大仏や観音像、スカイツリー、東京タワー、もしくは超高層ビルディングでも構いません、巨大建造物に心が惹かれたことはありませんか?
異論はあるかもしれませんが、巨大なモノには人の心を揺さぶるパワーがあると思っています。それが故に、人類は巨人を夢想し、その生息範囲で数々の巨大建造物の歴史と、巨人たちの神話を残してきました。
合理化一辺倒の昨今の価値観で鑑みれば、コスト度外視の巨大建造物はナンセンス、時代遅れの遺物と断罪されるものかもしれませんが、そもそも巨人自体が多くの神話において神々よりも古い存在として位置づけられている以上、古き良き時代のロマンの象徴として思索できると思い、この漫画を描きおろしました。
巨人の伝承をマンガで描くために色々と本を読んだりしたのですが、ふしぎなことにイメージのよりどころとして頼りになったのは、子供の頃のあやふやな「巨きなもの」への憧れと恐怖でした。幼い頃、高熱にうなされた時に見た「ゆらぐ天井」のイメージと、伝説上の巨人との親和性が、なぜか心に引っかかっています。
歴史よりも遥かな昔、神話よりもさらに昔の物語…
人類は一体いつから巨人のイメージを持ったのでしょうか。大きな山を見た時に連想したのか、広大な大地、あるいは果てしなく広がる空に浮かぶ雲に巨人の存在を感じ、物語を紡ぎ出したのか。ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』によれば、人類に認知革命が起きたのが約7万~3万年前の間であると言われています。
虚構、すなわち架空の事物について語るこの能力こそが、サピエンスの言語の特徴として異彩を放っている。
引用元 ユヴァル・ノア・ハラリ著 柴田裕之訳『サピエンス全史』第2章虚構が協力を可能にした
おそらく、この時期に巨人の伝承が生まれ、語り継がれていったのでしょう。歴史が始まる前の時代です。文字もなかったので、口頭で伝えられたのでしょう。部族間で語られたであろう巨人の物語の中には、現代まで残らなかったものも多くあるはずです。そして残ったものが神話となり、やがて歴史として書き記されて現代まで残りました。そうして伝えられてきた途方もない年月に思いをはせると、感慨もひとしおであります。