1950年代~60年代にかけて世界中の若者たちを熱狂させたロック音楽。
若者文化、カウンターカルチャーの勃興期に燦然と輝いた音楽ジャンルは 、アートやファッション等とも共鳴し、常に時代と共にあった一大ムーブメントでした。
そんなロック音楽シーンですが、主に海外では90年代後半から10年代以降にかけてロックバンドの影響力が低下していると言わざるをえません。
メジャーシーンに限って言えば新しいロックスターは登場せず、ヒップホップなどに取って代わられているのが現状です。
https://www.billboard.com/charts/year-end/2018/hot-100-songs
HOT 100 SONGS 2018
ポスト・マローンのパフォーマンスや過激な? 天然な? 言動は、間違いなくかつてのロックスターを彷彿とさせます。
ロックミュージックは時代遅れの音楽?
これに対して、言うまでもなくロック音楽自体は現在でも世界中で聴かれ、演奏され、作られています。コンサートなども大盛況です。
しかし少なくとも海外のヒットチャートではロックバンドの曲が圏内に入ることはまれですし、2010年代にポスト・マローンやアリアナ・グランデほどの社会的な影響力を持つような新たなロックバンド、スターは出現していません。
https://www.billboard.com/charts/year-end/2018/top-rock-albums
2018 TOP ROCK ALBUMS billboard
ロックとは何か? 音楽性と精神性
いわゆる1950年代に流行したロックンロールと呼ばれる音楽ジャンル。
そのルーツは黒人音楽のブルースやゴスペルを元に作られたもので、1954年のビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツ「ロック・アラウンド・ザ・クロック」ともエルヴィス・プレスリー「ザッツ・オールライト」とも言われていますが、諸説あるところです。
1960年代になると、ロックは黄金時代を迎えます。ビートルズ、ビーチボーイズ、ジミ・ヘンドリックス、ローリングストーンズ等、今に続くロックバンドのスタイルが確立されました。
ロックの精神性を大別すれば以下の二つに分類できます。
ココがポイント
A.反権威(アンチエスタブリッシュメント)派手な衣装や過激なライブパフォーマンスや反体制的なメッセージ性の強い歌詞。
B.内省的な詩とメロディー。疎外感。実験的なサウンド、先進的な音作り。
ロック音楽、ミュージシャンは二つの要素のうち、どちらかに偏ることもあるにせよ、基本的にはこの二つの要素を持っています。
またファンもロックミュージシャンにそのような要素を求めるのではないでしょうか。
ヒップホップがロックに取って代わった理由を考察する。
反権威、メッセージ性の強い歌詞、過激なパフォーマンスなどはヒップホップの表現の方がより切実で、攻撃的であり、張り詰めた空気感を音楽にまとわせることができます。
顔にタトゥーを入れたマローンの外見や過激なパフォーマンス(靴に酒を入れて飲む)等も、嫌悪感を抱く人は多いのではないでしょうか。
ロック界でも古くはキッスのメイクやマリリン・マンソンのエキセントリックな外見は人によっては滑稽に見えてしまうかも知れませんね。
洋の東西を問わず、流行とは嫌悪感と紙一重にあるものです。
反骨心のある若者は、両親の聴いていたロック音楽よりも、より過激なラッパーの方に心が向くのではないかと思います。
一方、「歌」としてロックを考えると、現代の人にはバンドサウンドは聴きづらく、R&Bシンガー等の洗練された歌い方の方がすんなり耳に入るという意見もあります。
その辺りに時代がロックからヒップホップやR&Bに移っていった理由のいくつかがあるのではないかと思います。
ロックをめぐる海外と日本での温度差
邦楽ロックの歴史についてはこちらの記事をどうぞ。
アメリカの学校社会ではジョックと呼ばれるスポーツマンを主体とした人気者グループに対して、社交性に乏しく、文化系の活動に関心がある学生たちはナードと呼ばれスポットライトが当たらない存在と言われています。
まとめ
現在のアメリカの総合ヒットチャートにはロック音楽の姿はほとんどありません。
クラブカルチャーやパリピ(パーティ・ピープル)が若者文化の中心であり、その場を盛り上げるための音楽としてはロックの需要はないと言ってもいいでしょう。
そういう意味においてロックは廃れました。
一方、ロックは音楽のジャンルとしては確立・完成されており、ロックチャートにはビートルズやクイーンなど60年代~70年代にかけてのロックの名盤が今なお燦然と輝いています。
これに加え現代ロックはマニアックな音楽好きなユーザー(1人で音楽を聞く層)に向けて、より深く進化を遂げています。
20世紀のポップカルチャーを象徴するようなロック文化は定着し、古典として親しまれるようになっているのではないでしょうか。
※あくまでも個人の感想です。