映画の見方は人によって様々です。
美男美女のスターによる、心躍る物語を楽しみたい方や、映画を通じて人生を深く学びたい方。
友達との話題作りに見る流行の映画や、落ち込んだ時に見たい映画…
単なるヒマつぶしに見ることもあるでしょう。
この記事では内向的な人、現代社会に生きづらさを感じている人におすすめの映画を紹介します。
内向的といっても癒し系映画は少なめです。
こんな方におすすめ
- みんなとワイワイ楽しむのが苦手な人
- 少しだけ人と違った感性を持っている方
- 流行に乗るのが少し苦手な方
最近はめっきり映画を観なくなってしまったので、新作は少なめです。
漫画家修行時代(厳密にいったら生涯修行の身ですが)たくさんの映画を(主にDVDとか配信ですが)見て学びました。
多かった時で年間500本くらい見ました。累計ではカウントしてないけど、邦画やアニメ映画も含めて少なくとも3000本くらいは見てると思います。
映画館に行く習慣はないので、本物の映画ファンには怒られてしまいそうですがご容赦ください。
内向的な人におすすめな映画とは
あくまでも内向的な人におすすめということで、万人向けの映画は少なめです。
シナリオの完成度や演出の冴え、俳優の演技やスター性よりも、現代社会に生きづらさを感じている人にとってオススメできる映画に特化した選択となっています。
老人と子供が主役だったり、ロードムービー率が高かったり、カルト映画多めです。
グロテスクなシーンのある映画はほぼ選んでないと思いますので苦手な方でも安心して見て頂けるかと。
派手でカッコいいアクションシーンや、いわゆる「泣かせる」シーンがある映画もあまりないのでご了承ください。
なお、ここで取り上げている作品群は順不同です。思いついた順に記しました。
- ナポレオン・ダイナマイト
- 遠い空の向こうに
-
ペーパームーン
- ハロルドとモード/少年は虹を渡る
- ぼくは怖くない
- デトロイト・ロック・シティ
- アニーホール
- スケアクロウ
- 春にして君を想う
- 世界最速のインディアン
- Dr.パルナサスの鏡
- ギャラクシークエスト
内向的、ということで本来なら真っ先に名前が挙がるであろうティム・バートン監督作品は、あえて外しました。
理由はシネコンなどで大々的に上映され、カップルや家族連れなど万人が楽しんでいるからです。
内向的な人の中には、「リア充たち」の群がる映画を敬遠する向きもあるのではないでしょうか。
映画には全く罪はありませんけれども。
ひねくれた物事の見方かもしれませんが、そんな理由で超メジャーは外しました。
『シザー・ハンズ』『エド・ウッド』『ビッグ・フィッシュ』等、個人的には大好きなんですけれどもね。
たくさんの人間たちで込み合った、大型商業施設の映画館でポップコーンのにおいを嗅いだだけでパニックになってしまって、
映画どころの気分ではなくなってしまったことがある方に向けてこの記事は書いています。
ナポレオン・ダイナマイト(04年)
変わり者としていつも周囲に馬鹿にされ、いじめられている主人公・ナポレオン・ダイナマイトの青春が描かれた作品です。
スクールカーストの最底辺にいる、田舎の冴えない高校生たち3人の友情物語なのですが、独特の雰囲気を持った心温まる(?)映画です。
主人公がクライマックスで見せる、キレッキレのダンス・シーンは笑いと感動を同時に味わえる贅沢なシーンではないでしょうか。
カルト映画とも言われる本作ですが、内向的な人には強くオススメできる内容となっています。
遠い空の向こうに(99年)
宇宙に夢をはせる少年が、炭鉱の町で仲間たちと力を合わせてロケットを開発するストーリーです。
NASAのエンジニアの自伝をもとにしています。
原題の「October Sky」は、原作の題名「Rocket Boys」のアナグラム(アルファベットを組み替えると違う意味になる言葉遊び)になっています。
なぜタイトルが「10月の空」かといえば、57年10月にソ連から打ち上げられた人類初の人工衛星がアメリカ上空を飛んだからです。
夜空を飛んだ人工衛星に魅せられた4人の少年たちが、宇宙を夢見るキッカケだったのが「10月の空」だったのです。
ロケットをテーマにしたお話ですが、宇宙に興味がなくても楽しめる作品です。
父親と息子の関係、スクールカースト上位者である兄との関係など、内向的な人にとっても刺さるツボの多い作品ではないでしょうか。
いやだ! 父さんは炭鉱夫だけど、それは僕の人生とは違うよ。もう二度と地下へは戻らない。僕は宇宙へ行くんだ。
引用元『遠い空の向こうに』より
冒頭で父親に対しこんな風に言った主人公ホーマーと父親との関係が、ロケットづくりを通じてどのように変わっていくか、とてもていねいに描かれています。
ペーパームーン(73年)
1935年のアメリカ大恐慌時代が舞台のロードムービー。
聖書を売りつける詐欺師の中年男と母親を亡くした女の子の心の交流を描いたストーリーが秀逸です。
モノクロ映画に抵抗がなければ、自信をもっておすすめできる名作です。
ハロルドとモード/少年は虹を渡る(71年)
19歳の自殺を演じることを趣味としている少年と、79歳の風変わりな老女との恋を描いた作品。
生きる意味を見出せない少年と、社会の規範からはみ出したバイタリティ豊かな老女の鮮やかな対比。
社会が求めてくる普通や常識といった概念に息苦しい思いを感じている人にぜひ見てほしい映画です。
60歳も年の離れたラブロマンスに賛否はあるかと思いますが、おすすめです。
ぼくは怖くない(03年)
舞台は78年の南イタリアの夏。小さな村に住む少年ミケーレは廃屋の裏に空いた穴の奥に、鎖につながれた少年を発見する。
恐ろしさのあまり誰にも言えなかったミケーレだが、勇気を振り絞って鎖につながれた少年に話しかけると……
原作は同名の小説ですが、美しい映像と音楽が圧巻の映画です。
デトロイト・ロック・シティ(99年)
タイトルはハードロックバンド「KISS」が76年に発表した楽曲から。
舞台は78年のアメリカの田舎町。4人のハードロック好きの高校生が、デトロイトで行われるキッスのコンサートチケットを求めて奮闘する物語。
70年代のロック少年達をとりまくドタバタ青春映画。本物のKISSも出演しています。
アニーホール(77年)
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内向的、というか神経質っぽい都会のインテリを描かせたら絶品のウディ・アレン監督作から一作を選んでみました。
ロマンティックな『カイロ紫のバラ』(85年)『カフェ・ソサエティ』(17年)と最後まで悩みましたが、アレン映画のスタイルを確立した作品ということでこちらを。
ウディ・アレン演じる神経質で自己中心的なコメディアンが、ダイアン・キートン演じる奔放でシンガーを目指す女性アニー・ホールと出会い恋するお話。
洗練されたセリフ回し(長いけど)や、カメラの長回しなど技術的な面でも評価の高い作品です。
スケアクロウ(73年)
スケアクロウとはかかしのことです。ジーン・ハックマンが演じる喧嘩っ早く、どこか神経質な元受刑者のマックスと、アル・パチーノ演じる陽気で人なつっこい元船乗りのライオン。
正反対な性格の男が、心を通わせていく物語。
不器用な男二人の友情が描かれています。
この手のロードムービーでは『真夜中のカウボーイ』もオススメです。
見ていて切ない場面もあるので、無条件に大好き…とは言えないですが、心に刺さる映画ではないでしょうか。
春にして君を想う(91年)
アイスランド・ドイツ・ノルウェーの合作映画。
居場所を失った老人と馴染みの老女との逃避行を描いたロードムービーです。
人間の孤独と不安、失われたノスタルジーを求める心の動きを確かな手腕で描いています。
社会に背を向けてしまうという、決して万人に向けてオススメできるテーマではありませんけれども。
スピリチュアルな雰囲気と幻想的なアイスランドの風景が圧巻です。
現在(19年)ソフトが再発売されておらず、中古価格が高いのが残念です。
世界最速のインディアン(05年)
1000cc以下のオートバイの地上最速記録保持者バート・マンローの実話に基づいた映画。
時は1960年代のニュージーランドに住む67才のバートが旧式(1920年製)の自主改造バイク(インディアン・スカウト)で世界最速に挑むというお話です。
ちなみにタイトルにあるインディアンとは米国最古のオートバイメーカー名です。
レース映画ですが、オートバイに興味がない人でも、夢やロマンにグッとくる人ならば心に残ること請け合いです。
Dr.パルナサスの鏡(09年)
テリー・ギリアム監督のファンタジー映画です。
内向的な人におすすめする映画作家として、避けては通れないのではないでしょうか。
映画史に残る『未来世紀ブラジル』や『フィッシャー・キング』もオススメです。
ギャラクシークエスト(99年)
最後に紹介するこの作品は、一言で説明するのが難しい映画です。
パッケージだけ見ればB級SF映画ですが、『スタートレック』のパロディ風テレビドラマの元スターが、宇宙人に本物のヒーローだと勘違いされて、最後には宇宙を救うという話です。
まとめ
いかがでしたか。
内向的な人に向けてのおすすめ映画なのにラッセ・ハルストレム監督作品がないのはおかしいという意見もありましょう。確かに!
まだまだ紹介しきれないほど、オススメの映画はありますが、趣向を変えてまた紹介できたらと思います。