学校や職場での、何気ない世間話で「ん?」と違和感を持つことはありませんか?
よく考えてみると相手に自慢されたり見下されたように感じるけど、気のせいだろうか。
「言っとくけど、私は群れの中であなたよりも上位だからね!」
もちろん直接は言ってきません。まれに言ってくる人もいますが…
さりげない会話に紛れて、自分の優位性を示してくる人たちがいます。
露骨に自分を否定されたわけでなくても、嫌みを言われたように感じたり、悔しい思いをしている方もいるのではないでしょうか。
それは、相手によるマウンティングの可能性が高いです。
それはヒト以前の哺乳類から備わってきた習性です。
マウンティング(mounting)
多くの哺乳類の雄が交尾のときにとる、他のものに馬乗りになる行動。サルでは個体間の優位性を誇示するためにも行う
引用元:小学館:デジタル大辞泉より 参考URL=コトバンク マウンティング
しかしマウンティング女子という言葉もあるように、男女を問わず行われる行為でもあります。
今に始まったことではありません。
われわれ人類(ホモ・サピエンス)はコミュニケーションに特化した社会環境で文明を築いてきました。
人はなぜマウンティングをしたがるのでしょう?
この記事ではいくつかの実例を紹介しながら、マウンティングをする人の心理的な原因と対処法を考察します。
人はなぜマウンティングするのか?
なぜ、人は優越を示したくなるのでしょう?
基本的に、立場が明確に違う場合は優越感はあまり感じないはずです。
たとえば、大企業の経営者は基本的には新入社員に対してマウントなど取らないはずです。
「どうだ? 私は社長で偉いんだぞ」
なんてわざわざ言う必要がないからです。
経営者が極端にマウントを取りたがる等、個人の性格によって例外もあります。
まあ、それはさておき、一般的には明確な立場の違いはそれほど優越感にはつながらないのではないかと思います。
あるとするなら、学校や職場などでも立場が比較的平等か、先輩や上司など、やや優位な立場でのマウント取りが多いのではないでしょうか。
おおよそマウンティングの理由は大きく三つ考えられます。
-
「劣等感」を刺激されたとき
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相手に対しての嫉妬心
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弱々しい相手を見下したいとき
人の劣等感は多種多様です。
いわゆるイケメンや美人でも、くせ毛を気にしていたり、切れ長の目など他人から見たらチャームポイントに見えるところに意外と劣等感を持っていたりします。
嫉妬心も同様に多種多様です。ハキハキ話す、笑顔を絶やさない、○○ちゃんと仲がいい、字がキレイ、姿勢がいい…
人によっては「えっ? そこまで気にする必要ある?」と思えるような部分に嫉妬を覚えたりするものです。
自分の存在が揺さぶられるようになるとき、対抗意識がメラメラとわいてくることがマウント取りにつながる心理ではないでしょうか。
そして自分の強みを見せつけたり、相手の弱いところをついてみることで、優越感を示そうとするのではないでしょうか。
マウンティングあるある
社会人であれば、さりげなく高収入をアピールしたり、忙しい私、有能な私、人脈の多い私…
女性同士であれば、使っているコスメ、ファッション、ダイエットからライフスタイルに至るまで…
ママ友のグループなどでは、教育方針やファッション、夫の社会的ステータス、人間関係…
学生同士でも部活によるヒエラルキーや、果ては好きな歌手、アーティストにまでマウントを取ってくる…
気になりだすと、止まらなくなってしまうのがマウント問題の厄介な点でしょう。
人間の悪意は驚くほど他者に伝わりやすいような気がします。
たとえば困っているときに、アドバイスをくれる人がいるとします。
中には親切を装いながら、アドバイスにかこつけて自分の優位を示したり、知識をひけらかす人もいます。
「だからダメなんだよ」「ここはこうしないと」
同じ言葉でも本当に親切に言ってくれてる場合では、たとえ言い方がキツかったり、ぶっきらぼうだったとしても、何となくプラスのエネルギーがあるような気がします。
自分が過去に言われて「マウント取りかよ?」と反発した「ぶっきらぼうなアドバイス」も、時間を置いてみれば正鵠を射ている場合も多々ありました。
ここを見極めるのは自身の人間力によるところが大きいので、素直な心で日々精進ですね。
ただ、マウント取りのアドバイスに関してはっきりと言えることがあります。
言ってきた人から、ネガティブな波動だったり、マイナスのエネルギーを感じたら、十中八九危ういかと思います。
オカルト、スピリチュアル的な物言いに抵抗がある方なら、相手の様子に自己陶酔感を感じたらアウトと言っていいでしょう。
なるほど鈍感力は強みだという意見も、もっともかもしれません。
マウントと世間体の関係
マウント取りにもっとも利用されやすい価値観が世間体です。
その名の通り、世間の体裁なので社会的な優劣のように見下してくる人もいるでしょう。
そのような場合、自分ではどうしようもできないので苦しむ人も多いかと思います。
世間体が気になって生きづらい人のために、以下の記事をまとめました。
また、マウント取りのグループから避けたはいいけれども、周りから孤立して「居場所がない」方にはこちらの記事もオススメです。
マウンティング対策は「対抗しないこと」
どんな場合においても、「相手がマウントしてきたな」と感じたら、対抗しないことです。
ふしぎなもので、抵抗すればするほど、打ち負かそうとすればするほど、相手の嫌な存在感は強くなる一方ではないでしょうか。
「そうだね」「あなたはすごいよ」「なるほど、そういう考え方もあるよね」
相手の優越への欲求を受け流すのが、もっともダメージを軽減する方法だと思います。
相手は優位を取りたいだけ。ただそれだけです。
その背景には、必ず劣等感が潜んでいます。
あるいは、現状うまくいっていない不満のはけ口を、マウントを取ることで満たしているのかと思われます。
真に充実している人は誰かを見下したりする必要がないのではないでしょうか?
マウンティングに利用しやすいコンテンツ
ここからは趣向を変えて、マウンティングに利用されやすいコンテンツについて述べてみましょう。
好きな映画やアニメ、ポップミュージックについて語ったつもりが、マウント合戦になってしまったり、一方的に相手の趣味を否定したりと、意外と穏やかではありません。
優位なマウンティングに利用されやすい作品の傾向をまとめてみました。
- 世間的に評価の高い作品(具体例・黒澤明監督作品、スタジオジブリ作品など)
- エッジの利いた表現の作品(具体例・押井守監督作品、新世紀エヴァンゲリオンシリーズなど)
- アンチの少ない作品(具体例・宇多田ヒカル、スピッツなど)
- 通好み、後世に与えた影響力の強い作品(具体例・小津安二郎監督作品など)
たとえば、海外の有名映画賞を受賞。興行収入〇〇億円突破!など具体的な結果を出しているコンテンツはマウンティングに利用されやすいのではないでしょうか。
その他にも洋画至上主義や、アート系至上主義、ハリウッド映画全否定派など、めんどくさい映画ファンは現在も一定数いるのではないでしょうか。
逆に、マウンティングを取られやすい傾向のある作品の傾向をまとめてみると以下のようなものになるのではないでしょうか。
- 分かりやすい表現・やさしい作風のコンテンツ
- 売り上げは多いが、ツッコミどころも多い作品(具体例はご想像にお任せします)
- 定番コンテンツとして(NHK大河ドラマ、テレビ時代劇全般)
- 全年齢対象かやや低年齢向けの作品(具体例・ポケットモンスター、妖怪ウォッチなど)
あくまでも個人的な視点による傾向に過ぎないので、異論はあるかと思いますがご容赦願います。
まとめ
マウンティングについて、考察してみました。
人類の歩みの中で、いったいどれだけのマウント合戦が繰り広げられたことでしょう。
社会、共同体のあるところに男女を問わずマウンティングがあり、現時点では逃れる術もありません。
また、いつ自分が誰かをマウントするとも限りません。
こんな記事を書いている私も、誰かの優越感に傷ついているばかりではありません。
人との会話は気をつけて接しているつもりでも、意識せずマウントを取っていることもあるでしょう。
そのような本能を内に抱えながら、わたしたちは社会的な生活を営んでいます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。