2019年(平成31年)4月1日、新元号「令和」が発表されました。
645年の「大化」以降248番目の元号となります。
これにより4月30日をもって今上天皇は退位(譲位)され、平成は終わります。
5月1日に改元されて年号は令和となりました。
剣璽(けんじ)等承継(しょうけい)の儀が行われたのち、当時の皇太子殿下であった浩宮(ひろのみや)徳仁(なるひと)親王が今上天皇として即位されました。
令和の由来と安倍首相による談話を紹介します。
また新元号の時代(2025年)に起こり得る未来予測も紹介します。
新元号は令和(れいわ)
4月1日菅義偉内閣官房長官より発表されました。
令和の由来と理由は?
出典は日本最古の歌集・万葉集の梅の花の和歌からとられたそうです。
初春(しよしゆん)の令月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風和(やはら)ぎ、梅は鏡前(きやうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(はいご)の香(かう)を薫(かをら)す。
令という字が使われたのは初めて、和は20回目です。
すみません話が逸れました。
令和の由来は人々が、美しく心を寄せ合うことで、文化が育つという意味です。
梅のように咲き誇る花を咲かせる日本でありたいとの思いを込めたそうです。
日本の国柄をしっかりと次の時代に引き継いでいく、
希望に満ち溢れた時代を、国民とともに築いてくと、安倍首相は談話を発表しました。
これまでの元号の歴史の中で、はじめて日本の古典を元につけられた元号となりました。
万葉集は豊かな国民文化を象徴しています。
皇族や貴族だけでなく、防人や市井の人々の和歌も取り上げられています。
身分に関係なく、様々な立場の人の作品がひとつの歌集としてまとめられているものは世界にも例がないでしょう。
なぜ改元をするのか
これは平成時代の天皇陛下の意向が強かったと言われています。
生前退位(譲位)の意向を国民に示されたのは16年(平成28年)10月のことでした。
天皇陛下が、国民にお気持ちを表されたビデオメッセージの中で、天皇の位を生前にゆずる「退位」の意向を示されました。
天皇陛下は80歳を過ぎてなお、完全な休日はほとんどない状態で、行事や儀式に出席したり、地方を訪れたりとご多忙な日々を過ごされておりました。
宮内庁の幹部など近しい方々も「公務に代役を立てるなどして形だけの天皇となられても異を唱える者はいません」などと進言したそうですが、天皇陛下のお気持ちは変わりませんでした。
安倍首相は「重く受け止める」とし、菅官房長官も「公務の在り方を考えていく」と臨時記者会見で述べました。
しかし、皇室典範という憲法の規定により、天皇は終身と定められています。
加えて天皇の在り方は歴史の中で移り変わっていっているので、過去の譲位とも単純に比較できません。
光格天皇の譲位と日本国憲法下における退位との違い
譲位は200年ぶりになりますが、当時と現代とでは天皇の位置づけおよび法体制がまるで異なってしまったからです。
当時は江戸時代。政治の実権を握っていたのは徳川幕府であり、天皇を含めた朝廷の立場は大きく制約されていました。
光格天皇(1771~1841年)は博学多才で知られ、伝統的な朝廷の儀式を再興させるなど、近代天皇制の下地を作った天皇であるとされています。
寛政元年(1789年)に天皇になったことのない実父典仁親王(すけひとしんのう)に太上天皇(上皇の意・尊号)を与えようとして徳川幕府の老中・松平定信に拒絶され、幕府に批判的だった公家が処罰を受けた事件です。
この一件により朝廷と幕府の間に溝ができたことと、幕末の尊王思想に大きな影響を与えたと言われています。
ここから第二次大戦においての大日本帝国の敗戦を経て、天皇制は一変しました。
米国による占領下で元号は「新日本〇年」の案も
いうまでもなく戦後に施行された日本国憲法第1条において天皇は日本国および日本国民統合の「象徴」として規定されています。
実は終戦後まもなくの1946年(昭和21年)に今後はずっと「新日本〇年」とすべきという意見書が出たそうです。
これに対して歴史学者で東大の坂本太郎教授は元号は独立国の象徴であり、元号がいかに日本社会、文化と密接につながっているかを訴えました。
米占領下での元号存続の危機を乗り越えたそうです。
話を退位に戻します。
今の憲法では天皇制について世襲されるとだけ定められ、皇室制度を定めた「皇室典範」にも退位に関する規定はありません。
また、天皇は「国民の象徴」であり、憲法4条で天皇の国政不関与が明記されています。
天皇制については非常にデリケートな憲法上の制約も含むため、慎重に議論が進められました。
天皇の退位等に関する皇室典範特例法17年(平成29年)が6月に公布され、19年(平成31年)5月1日に施行予定です。
昭和から平成に変わった時代はどうだったのか
平成最後の年。元号予測の盛り上がり
自粛ムードにあった昭和の時代とは違い、平成時代では民間による元号予測で盛り上がっていました。
新元号予測ランキングなども行われ、「安久」が1位を獲得したそうです。
令和元年5月1日の盛り上がり
ツイッタージャパンによれば改元関連のツイートは1200万以上だったとか。
4月30日から5月1日にかけて、皆さんのそれぞれの思いがTwitterに寄せられました。改元についてのツイートはなんと1200万を超えています🎉#ハロー令和 pic.twitter.com/QAgO2HA2Wb
— Twitter Japan (@TwitterJP) April 30, 2019
「近未来予測2025年」で考える新時代
18年に刊行された『〔データブック〕近未来予測2025 (早川書房)』著・ ティム・ジョーンズ、キャロライン・デューイング。訳・江口泰子
未来予測プログラム「フューチャー・アジェンダ」の創設者が書いた本の中で、近未来に何が起きるのかをテーマにワークショップを世界で開いて専門家の意見を集めたという、未来に対する12の共通認識として紹介されている項目があります。
- 人口が爆発的に増加する
- 資源が枯渇する
- 環境汚染に歯止めが効かなくなる
- 移民は悪である
- 仕事が不足する
- 女性の教育水準の向上が多くの問題を解決する
- 技術が大きな問題を解決する
- 答えは太陽光エネルギーの中にある
- 定年について考え直す必要がある
- 医療費は増加の一途をたどる
- アジアの世紀が始まる
- GDP成長率は、社会の発展を評価する最良の尺度である
引用元=〔データブック〕近未来予測2025 (早川書房)
イギリス人による著作なので、この論点が日本にも当てはまっているかは置いておくとしても、世界中のニュースで取り上げられている国際社会の課題や問題点を多く含んだ内容ではないでしょうか。