学校や職場で嫌いだとか苦手だなあと思う人は、十中八九相手も同じ感情を持つものです。
「好き」の片思いは存在するのに、「嫌い」は大抵両想いになるのは何故でしょう。
その理由をあれこれ考察してみました。
嫌いな者同士は何故お互い「嫌い」が通じ合うのか
ふだん私たちは言葉によって会話をしています。
しかし同時に、ちょっとした表情や仕草や距離感などを無意識に感じ取っています。
結論を書いてしまえば、「苦手な人」や「嫌いな人」の心を変えることはきわめて難しい、というかほぼ無理です。
特に繊細過ぎるタイプの性格の人や、内向的な人にとって、合わない人とのコミュニケーションは相当なストレスになるでしょう。
人間は群れの生き物なので、「疎外感」と「敵意」にはきわめて敏感です。
口では「いいですね!」「○○さんの言う通りだと思います」と言っていても、苦手な人には違和感はないでしょうか?
何となく自分でも気持ち悪い感じはないでしょうか?
相手もまた、挨拶をしてくれたり、同調してくれたとしても、何だか心が通じていないような気がします。
ではどうすればいいのでしょうか?
この記事では、苦手な人から意識を逸らせつつ、適度な距離を取るためのヒントを述べたいと思います。
2-6-2の法則
これは元々はパレートの法則とよばれる、ビジネスや組織論で使われる言葉です。
これを人間関係に当てはめるという考え方もあります。
10人のうち、自分と気が合う人は2人、どちらでもない人は6人、合わない人は2人、という考え方です。
学校でも職場でも、環境が変わってもおおよそこの比率は変わらないと言われています。
自分のことを好きでいてくれる人が2割、行動によって好き嫌いがわかれる人が6割、なにをしても嫌いになる人が2割いるとされています。
自分と気が合う2人が、組織の中で中心的な役割を持っていたりするときは、抜擢されたり可愛がられたりすることもあります。
逆に自分のことが嫌いな2人が集団の中で主導権を持ってたりすると、どちらでもない人が嫌いな側に回り、いじめになってしまうこともあります。
このパレートの法則は『80:20の法則』とも呼ばれ、上位の2割が全体の8割を生み出すという考え方です。
組織のように集団ができると、優秀な上位が2割、平均的な中位の人材が6割、下位のグループが2割にわかれるという考え方でもあります。
「人間関係なんて、まあそんな程度だよね」というドライな捉え方。
当ブログでも何度かおススメしている心の持ちようです。
深刻に受け止めず、「まあ、そういうものだよね」と、受け流すことも心の負担を軽くする一助となるかもしれません。
自分にとって嫌だと思う人への本能的な反応
人間だれしも「苦手だなあ」と思う人はいます。
橘玲氏の著書『スピリチアルズ「わたし」の謎』によると、生き物が敵(不快なもの)に遭遇したときには3パターンの行動に分けられるのだとか。
「動けなくなる」「逃げる」「戦う」
これは原始的な本能で、このようなストレス反応にはかなりの個人差があることも知られています。
スピリチュアルズ 「わたし」の謎 (幻冬舎文庫) Kindle版
当ブログではごくアッサリとした解説にとどめますが、むずかしい話は専門の本をご参照ください。
ポリヴェーガル理論とは、1994年にスティーブン・ポージェスによって発表された「複数の・迷走神経」を意味し、「多重迷走神経理論」という訳語が使われることもあります。
まだ証明されてはおらず、現在の社会神経科学では支持されていない仮説ですが、脳だけでなく、自律神経系も含めて人間性というものを考えるとても興味深い話だと思います。
ポリヴェーガル理論をざっくりとまとめます。
「動けなくなる」「逃げる」「戦う」という原始的な本能が、迷走神経の活動が高まることで心を落ち着かせる効果があるそうです。
哺乳類にしか見られず、社会的な営みを行う生き物でとくに発達しているそうです。
言葉として知っているだけでも、「そういうもんだよね」という割り切りにつながる考え方になればと思い、記しました。
苦手な人と積極的に関わりあうことは「良い」ことなのか?
お互いが苦手な者同士が信頼関係を結ぶと、奇跡のような結果をもたらすこともよく言われています。
水と油の関係で、なにもかも正反対な2人がコンビを組むと最強になる。
何も漫画に限った話ではなく、歴史上の偉人や参謀、伝説的な起業家やバンドにいたるまでよく聞く話ではないでしょうか。
当ブログは内向的な人に向けて書いていますので、このような考え方を積極的には支持しません。
もちろん、お互いが苦手な者同士がタッグを組んで奇跡を起こすのは最高でしょう。
しかし、他人に期待すること、人の心に「こうあってほしい」と望むことは率直に言って不幸の原因となります。
まとめ
とにかく無理をせずに適度な距離をとるのがベストです。
無理をして自分を変える必要はないし、相手に変化を望むなどと言うのは論外です。
どうしても密接にかかわらなくてはならないときは、「そういうものだ」と割り切りましょう。
・嫌いな人同士はまず間違いなくお互いに苦手意識を持つ。
・2-6-2の法則。他人が10人いたら、自分に好感を持つ人が2人、どうでもいいと考える人が6人、嫌いな感情を持つ人が2人。
・自律神経や迷走神経の機能は、私たちの心身にとても強い影響を与えている。
・正反対な者同士がコンビを組めば最強になる可能性があるが、それは奇跡の確率で実際にはきわめて厳しい。
ドライにしなやかに、でも相手への表面的な礼儀は忘れずに、無理のない範囲で関係性を築くのがいいかと思います。