意識高い系とマイルドヤンキー。
よく聞く言葉ではありますが、明確な定義があるわけでもありません。
意識高い系は、IT企業の創業者などに心酔し、自己啓発本を読んだりセミナーへ行ったことをSNSでしきりとアピールする人たち。
自己アピールに実績が伴っていない人たちのことを意識高い系と呼ぶ、ネガティブな意味で使われる呼び名です。
マイルドヤンキーは、地元に根を下ろした見た目は不良っぽいのに犯罪行為は行わない人たちを主に指す言葉です。
彼らの価値観は、家族や地元の仲間との充実したレジャーを楽しむことがメインです。
飲酒や喫煙率も高く、パチンコのような娯楽に対する警戒心が少ないので、人によっては苦手だなと思う方もいるでしょう。
意識高い系はそのようなマイルドヤンキーをバカにする傾向がありますが、正反対に見える彼らの価値観でも、意外と共通点があります。
両者の違いを比較しながら、彼らの性質や価値観や考察してみたいと思います。
マイルドヤンキーと意識高い系の3つの共通点
お互いに正反対な存在だと思っている両者の意外な共通点とは何でしょう?
三点でまとめてみましょう。
・マウントを取る点
・「自分らしさ」が他人の価値観を基準にしている点。
・「○○してる自分ってすごいだろ?」=承認要求が強い点。
マイルドヤンキーはまず外見でマウントを取ります。
ピアスをしたり、金髪だったり、威圧的なファッションを好む人も多いでしょう。
そこには、仲間もしているからという同調性の他にも理由があります。
「こんな格好してるオレっどうよ?」
みたいな心理が見え隠れしています。
一方、意識高い系は自己アピールやこじゃれた趣味をしています。
ですが、彼らが無害な「趣味の良い人」で済まないのは、マウント取り、優越意識があるからです。
「アドラー心理学知ってる僕ってすごいでしょ?」
みたいな優越感が、SNSへの投稿からにじみ出ている人も少なくはありません。
マイルドヤンキーと意識高い系の特徴を比べてみた
ここではザックリとマイルドヤンキーと意識高い系の特徴を一言ずつ述べてみましょう。
マイルドヤンキーの特徴と接し方は、こちらの記事にまとめました。
拙作『時空オカルト研究会』より、年代別のキャラクターたちによる大喜利形式でお送りします。
それでは、いってみましょう。
ざっくりと両者の特徴を並べてみましたが、ここに述べたことが絶対というモノでもありません。
マイルドヤンキーだってiPhone愛好している人も多いでしょうし、好奇心旺盛な人ならジビエBBQを取り上げるでしょう。
意識高い系だってドン・キホーテや国道沿いのラーメン屋チェーン店に行く人もいるでしょう。
消費行動で見るマイルドヤンキーVS意識高い系
マイルドヤンキーは、学業よりも恋愛やスポーツ、娯楽などに明け暮れています。
進学よりも就職をする割合の方が多く、どちらかといえばデスクワークよりも肉体労働をする人が主流でしょう。
仲間と遊んだり家族でショッピングモールに行く機会も多いので、消費行動は旺盛です。
お祭りでクジを引いたり、ろくに使いもしない商品をその場のノリで買うこともあるかと思います。
収入と支出のバランスが「危なっかしい」家庭も少なくないでしょう。
ただ、当人たちは楽しんでいる場合が多く、家族や仲間たちとの交流をするためにお金を使います。
一方、意識高い系の消費行動は一見矛盾しているようなところが見られます。
最新のガジェットをレビューしてみる一方、SNSと距離を置くことを進めてみたり、断捨離と言いつつも高額なセミナーに通ったことをアピールしてみたり…
当人には何かしらの美学があるのかも知れませんけれども、行動様式が一貫していない人も多い印象です。
もちろん、世のため人のために知恵を絞り行動することは素晴らしいことで、何ら否定するものでもありません。
ただ、意識高い系の消費行動は「自己アピールが目的」になっているケースが多々あります。
Facebookで「いいね!」をもらうために話題の商品を買ってみたり。
承認欲求が思うように満たされないと、ガッカリすることも多くあるのではないかと思います。
消費行動で両者を比較した場合、マイルドヤンキーの方が圧倒的に幸福度が高いように思えます。
もっとも、家庭内に問題を抱えているようなケースや、金銭トラブルなど彼らの生活に問題を抱えている場合は別ですが。
一方で、自己実現を達成した意識高い系は、彼らが求めてやまない成功者の仲間入りを果たせるので幸福度はマイルドヤンキーを上回るでしょう。
ただその場合、意識高い系ではなく「意識が高い人」だったということになってしまいますが。
マイルドヤンキーの中にいる意識高い系
現実にはお互いに接点もないように見える両者ですが、マイルドヤンキーの中にはたまに意識高い系の特徴を持った人も存在します。
マイルドヤンキーにも様々なタイプがいるでしょう。
パチンコの遊技台がキッカケで『エヴァンゲリオン』や『魔法少女まどかマギカ』にハマった人もいるでしょうし。
仲間内でマウントを取りたいために、最新の電化製品を持ちたがる人もいるでしょう。
マイルドヤンキーだからといって非オタクで情報弱者という決めつけは必ずしも的確とは言えません。
意識高い系についてピンとこない方にはこちらの記事も参考になるかもしれません。
その一方で、仲間内で嫌われるタイプのマイルドヤンキーは、自分をアピールするために大げさなプロフィールを書いたりすることがあります。
有名人と同級生だったりすれば、ことさら自慢やアピールに使うケースもあります。
要するに過剰な自己アピールが目的になってしまうと、見た目以外は意識高い系とそれほど変わらなくなってしまうでしょう。
マイルドヤンキーはなぜ幸せなのか(まとめに代えて)
マイルドヤンキーと呼ばれる人たちはネット上ではバカにされたり、情報弱者で低所得と決めつける向きがあります。
ですが、主に地方都市に生きる彼らは家庭を持ち、子育てをし、友人たちと絆を深めて人生を楽しんでいます。
キャリア形成や自己実現とは無縁かもしれませんが、彼らの多くが現状に満足し、幸せなのはなぜでしょう。
それはおそらく、彼らが心の底から信じているからなのでしょう。
自分や家族はもちろん、友人も含めた地域の広がりや世間の絆を信じているのでしょう。
テレビやメディアの言うことも、それほど疑っていないのでしょう。
この社会が用意してくれる娯楽や価値観の中で、彼らはちょっと不良っぽい格好をしたり、法律の範囲内でやんちゃをしてみたり。
根底には、この社会に対する安心感を持っているのではないでしょうか。
たとえ、どのような時代、事態になっても、家族と仲間の絆で乗り越える!
彼らの多くがそう思う根拠は、逆説的ではありますが、この社会システムを信頼しているからです。
何とかなる。
もちろん政治家はダメだし年金制度はテレビの言うように問題だらけだけど、何とかなるでしょ。
たぶん根底にはそんな考えがあるのではないかと勝手に想像してしまいました。
そこが、本当の意味での不良との決定的な差ではないでしょうか。
実感としてマイルドヤンキーの外見も年々威圧感は薄くなってきていて、ほとんどお調子者の一般人と区別がつかないようになりつつあります。
※ただし成人式と祭りやハロウィンなどのイベント時はちゃんと威圧感MAXになる人もまだまだ健在です。
彼らの中には自分たちをパリピ(※パーティーピープルの略)と冗談半分に称していたり、彼らの大半にマイルドヤンキーの自覚はありません。
ひょっとしたら今後、マイルドヤンキーという言葉さえも死語になるかもしれないですね。
これに対して意識高い系は言葉そのものは変わるかもしれませんが、そうした層は根強く残っていくでしょうね。
見栄を張る人は古代より存在してきたでしょうし、自己アピールしたがる人がいなくなるなんてことはちょっと考えられません。