『三国志』とは ざっくり説明
ときは二世紀末から三世紀にかけての中国大陸。
後漢末期の動乱と、それに伴う「黄巾の乱」をきっかけに、群雄割拠が入り乱れ権謀術数がひしめく時代。
この乱世を勝ち抜き、中原に覇を唱えた「乱世の梟雄」曹操の魏。
これに対する江東の豪族である孫一族の呉。
侠客とも言われる劉備が、臥竜こと諸葛亮を得て建国した蜀による三国鼎立時代がいわゆる『三国志』の世界観とされています。
現在の日本人には、すっかりおなじみとなった『三国志』ですが、三国志カルチャーはこの30年で目まぐるしく変化しており、エンターテイメントのジャンルとして定着する一方、次々と新しい解釈や表現が生まれています。
☆80年代~2010年代まで、時空を超えて巡り合った刻牢学園『オカルト研究会』の4人のメンバーが、『三国志』について熱く語り合います。
80年代の三国志~NHK『人形劇 三国志』の影響と光栄のSLG『三国志』の登場~
横山光輝さんの『三国志』は、86年にで全60巻で完結したわ
横山三国志の時代背景を考えると、当初の掲載紙は潮出版の児童向け雑誌だった『希望の友』に71年から連載開始でした。
50年近く前に発表された漫画作品です。
当時流行っていたマンガ『ドカベン』の主人公・山田太郎と横山三国志の趙雲はよく似てると言われますよね
趙雲がカッコよく描かれたのって、NHKで放映された『人形劇・三国志』じゃないかしら?
京劇では白い鎧に背中に翼のような旗を立てた中二病チックな趙雲で、イケメン記号満載だけど?
羅漢中の『三国志演義』では、「骨太な偉丈夫」という記述がありましたよ
光栄のゲーム『三国志Ⅱ』の趙雲の顔グラはまだドカベン顔っぽかった
横山光輝『三国志』の趙雲
ゲームに出る趙雲の顔は、シリーズを重ねるごとにイケメンになっていったのよね
その後、社名がコーエーになり、大ヒットした『真・三國無双』シリーズではほぼほぼ主役の扱い
真・三國無双の趙雲
2016年の中国ドラマ『三国志 〜趙雲伝〜』では、本家中国でもイケメン俳優のケニー・リンさんが演じてましたよ
趙雲=若武者のイメージを決定づけたのは『人形劇・三国志』だと思うわ
人形劇・三国志で川本喜八郎が造形した趙雲は、晩年までヒゲも白髪もつかず、ほとんど外見に変化はない印象だったんだよな
ただ、中国では老将軍といえば黄忠ではなく趙雲をイメージすると言われていますよ
確か趙雲って、生年不詳で、公孫瓚や袁紹にも仕えてるし、劉備より年上かも知れないんだよな
趙雲の年齢について
趙雲子龍とは三国時代に蜀の名将として活躍した人物です。
様々な『三国志モノ』作品に登場し、ほぼ例外なく知勇に優れ豪胆で冷静な人物として描かれています。
正史においても関羽・張飛・馬超・黄忠と同列の伝がたてられています。
しかし、その記述は非常に簡素で、現存する趙雲に関する記述は『趙雲別伝』という信ぴょう性がイマイチとされる書物の記述が多くを占めています。
三国時代を正確に知ることは不可能?
「正史」でさえ1800年前の歴史書であり、羅漢中の小説『三国志演義』も明の時代に書かれたものと言われています。
現代のポップカルチャーで『三国志』と称されるジャンルは、基本的に両者の混交物+註約ないし民間伝承を再構築したエピソードを加えたものがベースとなっているものが多い印象です。
中には『三国志』のキャラクターを使ったファンタジーモノのような作品も見られますが…
90年代の三国志〜本格的なブームの到来
90年代になると、三国志のゲームがすっかり定着し、有名マンガ雑誌で三国志を舞台とした漫画作品が長期連載となりましたね
月刊マガジンで93年~『龍狼伝』94年~モーニング『蒼天航路』いずれも講談社だ
どっちも名前は知ってるけど、女子をメインターゲットにした作品ではないわね
91年には横山三国志をベースにしたテレビアニメ『横山光輝 三国志』も放送された
実は85年にも日テレ系の水曜ロードショーで、アニメ化したのよ……
原作の横山三国志とは違うぶっ飛んだオリジナル設定でね
曹操がまるで『北斗の拳』のラオウみたいなキャラなんだよな
漫画版の横山三国志の曹操って、若い頃は野心溢れる冷徹な感じがよく出ていてカッコいいのにね
『乱世の奸雄』と呼ばれた曹操と、世紀末覇者 拳王とも呼ばれたラオウとは、おどろおどろしい二つ名以外あまり共通点はないと思うぞ
曹操のすごさ
『三国志』を語る上で、英雄・曹操孟徳については避けては通れません。
実質ほぼ天下人ですし、稀代の用兵家で、孫子の註も書いたほどの知識人で、同時代の文学者の後援者でもあり、本人も一流の詩人でもあります。
息子の曹丕と曹植も含めて健安の三曹七子と呼ばれることもあるし
人形劇でも、赤い衣装がとってもカッコ良かったわ。でも、悪役として描かれていたけど
『正史』はともかく『三国志演義』の影響からか、吉川英治モノも含めて、曹操は悪役だったわね
ゲームでは実績がシビアに能力値として数値で表されるから、曹操の魅力が一層際立ったと思う
曹操って、ここでは語りつくせないほど魅力的な人物ですよね
『人形劇三国志』曹操の模写
80年代以前の三国志から90年代を経て、日本での人気を決定的なものにした『三国志』ですが、その影響は歴史好きだけに止まりませんでした。
漫画、ゲームやアニメといったポップカルチャーのモチーフとして、日本の娯楽産業において巨大な「ジャンル」となりました。
00年代の三国志〜より破天荒になった三国志
『三國無双』と『三国志大戦』何でもアリの三国志カルチャー
00年代と言えば、PS2で『真・三國無双』シリーズが出た
それまでの歴史SLG(シミュレーションゲーム)とは打って変わって爽快感あふれるアクションゲームです
『三国志』は娯楽として日本に定着し、みんなから愛されるコンテンツに成長したともいえます
90年代までは蜀=善、魏=悪という図式があったんだけどな
呉の扱いはどう? 80年代までの三国志を扱った作品では、呉の扱いって地味な印象だったのよ
00年代で、呉のイメージを華やかなものに変えた一因は『真・三國無双』シリーズにあると思うわ。イメージカラーを赤にして、若々しく
確かに、00年代の三国志モノの主流は『呉』にあったと言っても過言ではありませんね
08年の映画『レッドクリフ』では、周瑜が主人公だったしね
呉の面白いところは人材がコロコロ変わっていく継投リレー的なところがあるからな
君主なら孫堅→孫策→孫権…軍師なら周瑜→魯粛→呂蒙→陸遜…なるほど人材が継承してますね
曹操と劉備が先発完投の英雄で、孔明は途中から入った劉備陣営のロングリリーフか
10年代の三国志〜スマホゲームの時代と『三国志』というジャンル〜
10年代になると、スマホゲームの爆発的普及によって把握しきれないほど三国志のゲームが世に出続けています
ソーシャルゲームの『三国志』モノは00年代からあったけどね
全部がそうとは言い切れないですけど、美少女武将の人気は高いですよね
もう中国の歴史物語とは関係のないところまで、いってるんだな
美少女に描かれた歴史上の人物に対する賛否両論はありますが、好きな三国志モノを楽しめばいいのではないでしょうか
『三国志』を舞台にしたスマホゲームは本当に種類が多く、たくさんのゲームが配信されています。とても全ては紹介しきれませんが、代表的なものを5つほど紹介します。
『新三国志』 キャラクターの育成要素と戦略要素をミックスしたSLG。あの『三国志』シリーズを世に出したコーエーテクモゲームズによる完全監修の元、スマホゲームに登場。絵は硬派寄りです。
新三國志:育成型戦略シミュレーションゲーム
開発元:HK HERO ENTERTAINMENT CO.
無料
『決戦三国』 特徴は同時にプレイできる人数が数百人という、オンラインバトルが魅力の爽快感のあるストラテジーRPG。ただし歴史IF要素も多め。
決戦三国~高速三国志RPG~
開発元:Six Waves Inc.
無料
『三国対戦スマッシュ』 スマホならではのひっぱり操作がなかなか楽しい感じです。絵がきれいで、武将の女性化イラストもあり。同時に5人までがマルチプレイ可能です。
『三国ブレイズ』 三国時代を彩った武将がディフォルメキャラとして登場。ガチャでゲットした武将で布陣を組んでオートバトル。テンポがいい。
『放置少女』 基本的な世界観は三国時代をベースにしていますが、項羽と劉邦なども登場し、武将たちが美少女の姿で描かれています。アニメ『一騎当千』とのコラボもあり。放置ゲームと呼ばれるジャンルのゲームなので、忙しい人でも楽しめます。
放置少女〜百花繚乱の萌姫たち〜
開発元:C4
無料
スマホゲームの影響で、三国志を知らないけど、三国志のキャラは知ってるっていう人は多そうね…
80年代の三国志は、ビジネス雑誌でも「孔明に学ぶ参謀の経営術」みたいな記事が多かったけどね
逆に10年代はビジネス関係で『三国志』の話題は少なくなった印象です
……みんな『三国志』にあんまり詳しいんでびっくりしたわ。オカルト研究会なのに
漫画・アニメ・ゲーム・歴史が好きで、オタク気質な男女なら、小学高学年、中学、高校のどこかの時期でまずハマりますよね
漢については、以下の記事を参照ください。
いろいろ魅力的な要素がてんこ盛りで、ファンそれぞれが十人十色の『三国志』観を持っている、とても懐の深いジャンルだと思いますよ