かつて一世を風靡した心霊写真も、今ではほとんど話題に上ることはありません。
スマートフォンと画像加工ソフト、SNSの普及によって、いつでもだれでも「やろう」と思えば心霊写真が作れて、不特定多数に向けて配信できるにも関わらずに、です。
「心霊」はいなくなってしまったのでしょうか?
様々な視点から「心霊写真」がすたれた理由と時代的な背景を考察します。
なぜ心霊写真はすたれたのか?
80年代~2010年代まで、4つの時代から時空を超えて巡り合った刻牢学園『オカルト研究会』の4人のメンバーが、心霊写真はなぜすたれたのか、その理由をいくつかに分類し、考察します
「誰もがいつ、どこでも写真を撮れる」時代になって、心霊写真がすたれるなんて…
『心霊写真』でグーグル検索しても、出てくるのは加工品かフィルムで撮った古い写真が多いですね
80年代はオカルト雑誌じゃなくても夏になると心霊写真特集があったけど
知里さん、00年代のSNSで心霊写真は流行ってました?
mixiとかのでも心霊写真を検証するコミュニティがあるけど…流行っているかと言われたら微妙ね
カメラが身近になって、情報発信が容易くなったとたんに、心霊写真はすたれてしまいましたよね
90年代ではテレビでも心霊番組をやっていたし、雑誌なんかでも心霊写真の特集はあったよ
心霊写真がすたれた決め手はネットと画像加工ソフトかな
あとは廃墟写真とかをツイッターにアップして『霊感がある人には見える写真』ってありましたね
スマホ時代の心霊写真
心霊スポットで自撮りする十念 絵馬
ほとんどの日本人が、日常的にカメラを持ってる時代なら、さぞかし心霊写真もたくさん撮られてるのだと思ったけど
◇いまこの瞬間にも、世界の誰かが撮った自然災害や事故などの決定的瞬間の映像や動画がSNSで拡散され、話題性の強いものはマスコミ報道などでもニュース映像として連日流されています。
◆その一方で、心霊写真そのものが話題になることは減っているように思えます。
もちろん人々の関心は一定数あり、SNSなどでも散見しますが、誰もが写真を撮れる時代にあって心霊写真の話題性は減少していると言えるでしょう。
そもそも心霊写真とは?
心霊写真は大きく3つに分類できます。
ポイント
①写真に心当たりのない顔や手などが映りこむ。
②雲のようなモヤ(エクトプラズム)や不気味な光が現れる。
③身体の一部が消えている。
◇かつて一世を風靡したオカルトブーム、とりわけ心霊写真はテレビ番組で取り上げられたり、雑誌や書籍として出版されたり、人々の関心をとらえてきた超常現象の一つでした。
心霊写真の黄金時代は?
心霊と言えば、テレビで心霊写真の鑑定をしてた中岡 俊哉さんが原作を担当した立風書房の恐怖漫画シリーズとかも流行って、心霊は身近なエンターテイメントだったのよ
90年代だとオウム以前はテレビの特番などでも心霊写真特集をやってたけどな
事件の影響でオカルト関連の娯楽が自粛したそうですね
そもそも心霊写真っていうけど、70年代どころか随分昔からあるわよね
心霊写真の歴史
実は写真の発明とほぼ同時に心霊写真も登場していました。
写真機が発明されて間もなくの19世紀末の頃には、すでに心霊写真が話題になっていました。
霊能者や降霊術師と呼ばれた人たちが霊やエクトプラズム(※霊の姿がボンヤリと視覚化されたモノ)を記録するために写真技術を駆使していたと言われています。
そうそう、この時代の古い心霊写真はモロに霊が映っているのよね
エクトプラズムって鼻から『どべ~』って白い綿のようなものが映ってるやつ
それ全部トリックですから。実際、二重写し(多重露光)やレンズフレアを使って意図的に作られた写真が多いですよ
事実、裁判沙汰になって法廷でトリックを指摘された霊能者はたくさんいます
史上初めて「写真で幽霊の撮影に成功した」人物
1860年代はじめ、米国のアマチュア写真家だったウィリアム・マムラーは、亡くなったはずの親族が映っている写真を何枚も公表し、一躍有名になります。
ウィリアム・マムラ―が撮影したとされる「心霊写真」
彼が撮った心霊写真の中でも有名なもののひとつが元アメリカ大統領エイブラハム・リンカーンの幽霊を映したとされるものでした。
その後マムラーの写真は批評家から疑われ、詐欺行為の疑いで裁判にかけられました。
公判では写真界の有力者たちが「重ね写し」する手法について証言し、心霊写真のトリックの証拠を突きつけられる形となったマムラーは、結局は無罪となりましたが名声は失ってしまいました。
心霊写真が、日本で本格的に有名になったのは1970年代になってからです
80年代~90年代(オウム事件前)までその余韻が残っていたもんな
そんな中で、安価な家庭用のフィルムカメラの普及とレジャー、行楽ブームも心霊写真の増加に関連しています
つまりオカルトブームと並行して、行楽ブームで、日本人の多くがカメラを持ってお出かけして、偶然取れた心霊写真にビクビクしたり
意図しないで撮られた心霊写真の多くは、フィルムカメラ時代の撮影ミス(露光など)が原因のものが大多数を占めると言われています
人間の脳って、点が3つあれば顔に見えるように感じてしまうらしいんですよね。シミュラクラ現象なんてカッコいい名前がついた錯覚のことです
木々に留まったテントウムシが顔に見える?
岩や木々、滝つぼに顔が埋まった心霊写真の大半がこのケースだな
…でも、なかには撮影ミスでは説明できない、本物の心霊写真もあるんじゃないかしら?
10万枚以上の写真を撮影しているプロのカメラマンでも、心霊写真を撮ったという人はいないと言われていますし
フォトショップなど画像加工ソフトの進化で、その気になれば超リアルな心霊写真を作れる時代だし
心霊写真そのものが、リアリティを得られなくなってしまったのではないでしょうか。オワコンですね
ショック! なんか夢が壊れた感じ。2010年代の未来に夢はないのね
新たに忍び寄る『除霊サービス』の影
小夜子さん、心霊写真はニセモノだとか、トリックだと決めつけたいわけじゃないんです
2010年代でも霊の存在を信じる人たちはいて、先立った両親や配偶者、死んでしまったペットも含めて、今はいない大切な家族と寄り添いたい思いが、霊の存在を信じさせるのです
日本人の多くは、何となく霊の存在を感じたことがあるんじゃないか
霊を信じてなくても、やたら怖い心霊写真あるわよね。呪われるんじゃないかつて思うくらいに…
心霊写真がすたれたといっても、撮影した写真に奇妙なモノが写っていたりすれば、不安になるのが人間の心理です
祟りがあるのではないか、悪いことの前触れではないかと思ってしまうのではないでしょうか。
写真のデータを消去したり、神社でお祓いをするなど、心の不安を取り除くために何らかの手を考える中で、霊能者に除霊を依頼するという選択肢も上るのではないでしょうか。
霊媒師、除霊師の中には法外な金銭を要求され、トラブルになる事例も少なからずあります。
『除霊サービス』などをめぐる金銭トラブルを避けるためにできること
『あなたには悪い霊がついています』『除霊するには〇〇万円かかります』ってアレか?
善意でやっている人を否定する気はありませんが、いつの時代も霊とタタリと金銭トラブルは存在します
親友や親戚が紹介する霊能者とか、密な人間関係から断り切れずにズルズルと大金を要求されるケースが厄介なんだよな
信心深かろうとなかろうと、お金の話になった時点で毅然と断るべきだな
相手がうんと年上だったり、上司とか、立場が上の人だったらどうする?
いくら目上でも「呪われてるから助ける」という理由で金銭を要求する人を信用できますか?
でもパニックになってしまっていたら、言うことを聞いちゃうわ
悩みや不安につけ込んで、高額な契約をさせて裁判になったケースの詳細は、以下のサイトからご覧いただけます
まとめ 心霊写真がすたれた5つの理由
①インターネットの普及にり、心霊写真のトリックを含めて、詳細な情報を調べることができるようになったから。
②その気になれば、画像加工ソフトでいくらでもリアルな心霊写真が作れる時代になったこと。
③デジタルカメラが主流になり、撮った写真をその場で確認できるため、変なモノが映りこんでもその場で削除されることも多く、「心霊写真」として残りにくいため。
④単純にカメラの技術向上で、「心霊写真」の原因となる撮影ミスが軽減された。
⑤テレビなどで心霊番組が流行らなくなり、人々の関心が薄れた。
たとえ心霊写真がすたれたとしても、霊にまつわる神秘的な話題には興味が尽きないワ