スマホ時代の心霊現象 心霊特番から心霊動画へ
こんな方におすすめ
- そういえば心霊番組をテレビでやらなくなったな…という方
- 心霊番組がすたれた理由を考察しています
年代別メディアが伝えた「心霊現象」
夏といえば怪談・怪奇特集だよね。80年代は「心霊特番」がたくさん放映されていたワ
00年代では廃墟スポットなんかが注目されて、『失われた10年』で閉鎖されたテーマパークやリゾート施設に忍び込む人たちもいたのよ
10年代はSNSなんかで、『心霊スポット』が話題になって、いろいろな地域の場所がグーグルマップなどの情報と共にピンポイントで流れてきますね。『ヤバすぎるから絶対行くなよ』みたいな感じで
70~80年代までは肝試しとかで、深夜の墓地を探検したり、学校に忍び込んで宿直の先生を死ぬほどびっくりさせたりしたけど
廃墟スポットにヤンキーが侵入してガラスを割ったり落書きしたり、社会問題になったのは90年代になってからかな
00年代だと廃墟に行くオフ会もあったわね…あたしは行ったことないけど
動画配信サイトの登場で、『心霊スポット』に忍び込んで、動画を撮影してネットで公開する『心霊動画』も一躍広まりました
それを見たら○○ってのは、98年に映画化されて大ヒットした鈴木光司の小説『リング』を彷彿とさせるな
『不幸の手紙』みたいね。わたしも文通相手の一人からもらったことがあるわ。昭和40年代からあったみたい
これは、不幸の手紙です。
この手紙を○○人に送らないと、私に災いが訪れるそうですので、申し訳ありませんがあなたに送らせていただきました。
〇〇日以内に、同じ文面で●●人に同様の手紙をお送り下さい。
一般粋な「不幸の手紙」の文面より引用
チェーンメールもあったよ。同じような文面のメッセージで、00年代のSNSでも回ってきてるんだよ
不幸の手紙とは何だったのか
決まり文句は『見たら不幸になる』『災いが降りかかる』『この文面を次の人に回せ』
不幸の手紙とチェーンメールに共通するのは、この文言で、読んだ人を脅すことでした。
ホント、変わらないんだなあ。90年代末に『棒の手紙』ってのがあってさ、誰かが『不』と『幸』を書き間違えて『棒』に書いたんだ。そしたら誤字がそのまま出回ったっていう
80~90年代心霊番組 消えた心霊タレント
10年代では、ほとんどテレビで取り上げられなくなりましたね。00年代はどうですか?
ミクシィなんかでは心霊写真の検証コミュがあったり、フジテレビでやってた『奇跡体験!アンビリバボー』で、心霊写真のネタはあるけど、90年代ほどの勢いはないかな
夏になるとテレビでよく特番が組まれてたな。ただしオウム以前の90~95年くらいがピークだ
『怪奇特集!!あなたの知らない世界』は、わたしの幼稚園児時代(1973年)からやっていて、お昼のワイドショーがお盆になると、心霊番組になるの。小学生の時は夏休みだったから、よく見ていたわ
心霊写真がすたれた理由
すごかったぞ。心霊写真の霊視が行われたり、心霊タレントや『心霊捜査員』が未解決事件を推理するコーナーもあった

白蛇が憑依する占い師で、決め台詞は『こんなんでましたけど~』よ!
織田無道は霊能力者タレントの枠を超えてバラエティ番組に進出し、オウム以後のオカルト冬の時代でもテレビに出ていたな
冝保愛子さんも02年に亡くなって、00年代は心霊ブームから江原啓之さんに代表されるスピリチュアル・ブームにシフトした
【引き寄せの法則】実践した結果、気づいた5つの疑問
スピリチュアルブームの源流はニューエイジ思想!
00年代のスピリチュアル・ブームに欠かせないのが『引き寄せの法則』『パワースポット』というキーワードよね。2006年の『ザ・シークレット』もね
でも、アメリカのスピリチュアルモノの系譜って、元をただせばニューエイジ思想から出ていますよね
60年代のヒッピー・ムーブメントの渦中で流行った運動だろ。『ウッドストック音楽祭』とミュージカル『ヘアー』要するに対抗文化(カウンターカルチャー)だ
ヤンキー文化とは真逆の方向性で始まった文化・芸術運動
でもまぁ、何つうか反抗と暴力に行きつく点では同じだけどな
60年代のカウンターカルチャーの中心となったのはインテリ階層とその予備軍の先鋭的な学生。社会不安、消費社会、泥沼化するベトナム戦争、大人たちの文化に『NO!』が突き付けられました。
キリスト教的な父系文化とか既存の宗教に対する対抗もあるわけでしょ。ヨガや仏教は西洋人には新鮮だったでしょうし。宇宙との交信、超能力、テレパシー、異次元とのコンタクトとかね…
それと、革命家だな。マルクス主義はもとより、スターリン主義者や毛沢東支持者が入り乱れて当時世界中で起こった芸術運動と連動した
一部で言われるように『古い価値観を打破する20世紀のルネッサンス運動』といえば聞こえはいいですけど、世界中が大混乱だったようですね
スターウォーズのフォース・ガンダムのニュータイプ思想なんかは、そういう影響下にあるでしょうね
当時は日本でもニューエイジ的な価値観を持ったクリエイターたちがテレビ番組の制作をはじめる…
60年代に大学生だった若者たちが社会に出て、世の中に影響を与え出したのが70年代後半から80年代前半です
富野由悠季氏は1941年生まれ、ジョージ・ルーカス氏は1944年生まれと、ほぼ同世代なのは興味深いわね
…余談ですが、アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏は1955年生まれで、60年代をティーンエイジャーとして過ごし、77年にApple IIを発売し、歴史の表舞台に姿を現しました。
彼の言動や商品開発のコンセプト等を鑑みると、ニューエイジの影響下にあるといえるでしょう。
ニューエイジの思想は当時、一大潮流となっていたのね
既存の価値観からの脱却って、コトバ的にカッコいいもんな
80年代のテレビドラマとか、普通のおじさん、おばさんがとってもダサく描かれていて、若い人たちはひたすら輝いていたわ
父親世代の古い価値観との決別~みたいなテーマで、最後は大抵父親世代が若者に理解を示す
その点、心霊特集やドラマは若い連中に容赦ないわよね。先祖や地縛霊がたたるたたる
心霊番組を始めたテレビ制作者は?
『あなたの知らない世界』でおなじみの新倉イワオ氏は1924年生まれ。
1960年より放送作家として日本テレビ放送網を中心に数多くのドラマ・バラエティー・音楽番組を手がけました。
1968年(昭和43年)自らの心霊体験がキッカケで、日本初のテレビ界初の心霊番組を企画制作します。
ちなみに、新倉イワオ氏は今も続く『笑点』の企画にも関わっていたとか。
日本で心霊番組が流行った理由
日本は70年代から、空前のオカルトブームだったでしょ。UFOブームもあった。それがいつの間にか心霊ブームになってた印象なのよ
なんか、昭和40年代からオウム事件までは日本中がオカルト、心霊や超常現象に浮かれてた感じだな
オカルトブームを振り返る 70年代~90年代編
超能力と前世が結びつくのは分かる。でも、心霊に行っちゃうのは日本独自のモノの考え方があるからでしょうね
イギリスのポルターガイスト現象とかエクソシスト、オーメン、ハリウッド映画になったけど、あの辺はどうなんだ?
日本人にとって、死後の世界はずっと身近にあったわけで。お盆もそうだし、怨霊とか幽霊とかも、古代から中世、文明開化を経ても意外とずっと身近だった
戦時中のお話で、戦友の幽霊話なんかはおじいちゃんから聞いたことがある
まあ心霊っていえば、日本人には身近な題材で、すんなり来るわな。お盆とか季節と結び付けられるし
やる気満々のテレビプロデューサーにとって、ウケることは何よりの指標。ニューエイジを出発点に、日本独自の心霊話を再構築したら、思いのほかウケたのでしょう
そういえば、あの手の心霊番組ってナゼか科学的なアプローチで検証したりするものもあったわよね
でも、それも00年代を最後に、テレビではあまり見られなくなった…
テレビで心霊番組をやらなくなった理由
心霊現象への関心は、未だにあるとは思います。ただ、CGなどの映像技術が発達したため、それらしい映像が簡単に作れてしまう時代なので、逆に説得力がなくなってしまったのが原因のひとつですね
00年代でもネットの普及で、様々な観点から検証が可能だったり、情報を拡散されやすい環境なので、心霊番組はやりづらそうよ
それに加え、コンプライアンス(企業による法令遵守の姿勢)が年々強くなってきていますからね
心霊番組なのに、『この幽霊は再現ドラマ上の演出です』なんて野暮もいいとこだわ
いえ、娯楽は溢れかえってますし。誰もが安価で好きな時に粋な動画を楽しめる一方、そうした制約は仕方ないのかもしれません
心霊に限らず、善男善女が眉をひそめるような番組が平気で放送されているしね
・テレビで心霊番組をやらなくなった理由まとめ。
- 常につきまとう「やらせ」問題。ネットの普及により様々な観点から検証可能になった。
- テレビ局側のコンプライアンス問題と自主規制。
- クレーム対応。結果として自主規制。