思春期の子供を持つ親御さんにとって、わが子がいじめに遭っているかどうかは切実な問題ではないでしょうか。
ここ数年ではスクールカーストという言葉が、一般化してきました。
スクールカーストとは、教室内で「イケてる」グループとそうでないグループがまるで身分制度のように存在するクラスの雰囲気です。
なければないにこしたことはありませんが、リーダー格が差別的な性格を持っていたりすると、いじめの原因ともなります。
当記事では、子供のスクールカーストに悩みを持つ親御さんのために書きました。
ママ友に気軽に相談できるものでもないので、1人で悩んでいる方の参考になればと思います。
万が一スクールカーストで下位になっているときに、絶対にしてはいけないことを7つにまとめました。
スクールカーストは本人の責任ではない場合がほとんど
上位であろうと下位であろうとスクールカーストはほとんどの場合、本人の責任ではない場合が多いです。
たとえば容姿などは、両親の遺伝的な影響を色濃く受けてしまう事柄でしょう。
大人になってから雰囲気イケメンや雰囲気美人になる人もいますが、思春期は心身ともに成長途中、いわば素材ではないでしょうか。
しかし、これはあくまで大人から見た視点であって、
思春期の「素材」を、当事者である中高生たちは残酷なまでにジャッジしたりします。
ファッションセンスは磨くことはできますが、たとえ外見に恵まれ、センスを磨いたとしても
その場を盛り上げたり、楽しい雰囲気にさせる会話術は努力では厳しいものがあります。
これに加え、土着性の問題があります。
都心にせよ、地方都市にせよ、家族がその土地に根付いていない場合があります。
町内会やらPTAやら日本社会のしがらみの強さは時代が変わっても根強く残っていることは、実感する方も多いでしょう。
たとえば両親が転勤の多かったり、住んでいる共同体になじんでなかったりすると、その影響がお子さんに及ぶことさえあります。
基本的には見守る。
両親のうちどちらかが、スクールカーストで嫌な思いをしている場合は特に、お子さんのカースト問題は気になるのではないでしょうか。
友達と遊んでいる形跡がなかったりすると、いじめられていないかが心配で仕方がない場合もあるかと思います。
言うまでもなく思春期は難しい年頃です。
すなおに心を打ち明けてくれるとは限らないし、両親を心配させまいとして隠したりウソをついたりするでしょう。
下手に干渉しても頑なになってしまう場合も多いですし、基本的には見守る以外にないのではと思います。
もちろん、非行にかかわってそうな場合や、飲酒・喫煙などの違法行為は全力で止めるべきです。
絶対にしてはいけないこと①カースト上位に行けるよう努力する(させる)こと
「お前、スクールカースト上位?」
なんて冗談でも言うべき言葉ではありません。
前項でも書きましたが、スクールカーストは本人の責任ではない場合がほとんどです。
努力で解決できるものでもありません。
私は中学1年まで1軍でしたが、紆余曲折あって全軍を経験しました。
それらの経緯を踏まえた記事は、こちらよりご覧いただけます。
カースト上位を目指すための努力をするくらいなら、もっと勉強に時間を費やし、ランクの高い大学を目指した方がよほど効率的ですし将来も開けます。
②カースト上位の誰かと単純に比較しない
「○○ちゃんはクラスの人気者なのにね」
これは、子供の心をふみにじる行為になりますので絶対にやってはいけません。
口には出さなくても、悔しさは本人が一番わかっています。
まれに子供に発破(ハッパ)をかけるつもりで比較することを言う人や教師がおりますが、逆効果でしょう。
ブラック企業と何ら変わることのない無益で時代遅れの価値観だと思います。
比較で人が伸びるときは、詳細な情報を揃えて分析しなければなりません。
相手のどこがすごいのか?
どんな練習をしたら伸びたのか?
強みは何か? 自分と比べてどうか?
スクールカーストは空気のようなものです。
高い山の空気はおいしいかもしれませんが、高山に大都市をつくるほど人類に不可欠なものではありません。
子供の性格を責めてはいけない
「うちの子はドンくさいから…」
「内向的な性格だからダメなんだ」
等、親としてはまっとうな意見や善意のつもりでも、責められた子供の心は深く傷つきます。
何度も述べているように、スクールカーストは本人の努力とは無関係です。
無理にオシャレをさせようとすること
どんなにオシャレなご両親でも、お子さんの洋服を選ぶのは止めるべきでしょう。
ふしぎなもので、オカンに買ってもらった服は、絶対に子供達にはバレてしまいます。
どうしても買ってあげたい、着飾らせたいと思うならば本人を連れていくしかありません。
元も子もないようですが、洋服は本人に選ばせるよりほかはありません。
カースト上位のために無理にメジャー系運動部をやらせない
両親が地域に密着して、お子さんの交遊関係も幅広いならば何の問題もありません。
正直、個人的にはあまりおすすめはできませんが、カースト上位のためにメジャー系運動部に所属させるのもOKでしょう。
地域のコミュニティにもよりますが、学校の部活動は閉鎖的で排他的な価値観を持つところも少なくはないです。
親の立場が、地元のコミュニティーに根を下ろしているのならば、ベースラインはあると考えていいでしょう。
あとはお子さんがどう交友関係を築いていけるかにかかっています。
ですが、両親が地元で浮いた存在であった場合やカースト下位だった場合は慎重に考えましょう。
カースト上位で有利だからといって、無理にサッカー部やバスケ部を勧めるのは酷な話です。
子供が瞳を輝かせて「どうしてもやりたい」とおっしゃるなら話は別ですが。
どうしても運動をさせたいならば学校外の(評判の良い)スポーツクラブなどもいいかもしれません。
こんなことを書きたくはないのですが、世の中きれいごとばかりではありませんからね。
けっこうな割合で排他的だったり不寛容だったり、始末に負えないコミュニティは存在しています。
ママ友や親せきには相談しない方がいい
デリケートな問題です。
相談者がカースト上位だったりすれば、無神経な答えが返ってくるかもしれません。
いじめ問題でさえ「いじめられる人にも問題がある」と間違った認識を平気で言う人がいます。
現実の友人は、いるだけで何となく信頼度が高いので、何気ない発言もうっかり信頼しそうにもなりますが要注意です。
ネットの無責任な意見よりもヒドい偏見や思い込みから、見当違いの意見が飛んできます。
それどころか、「○○ちゃんのママ、こんな悩みを持っていた」
等、言いふらす場合もよくある話ではないでしょうか。
親せきなどの場合、特にその傾向が強いです。
顔が見える相手だからこそ、相談は慎重に行うべきです。
子供の居場所を妨げてはいけない。
思春期や反抗期の子供にとって、自分の家が居心地の良い場所なのか、そうでないかは多分その子にも分からない部分があると思います。
わが身を振り返ってみれば、その時その時の気持ちが目まぐるしく変わっていました。
居心地が良いにせよ悪いにせよ、子供にとって「帰る場所がある」だけで救いではないでしょうか。
私が中学の頃、カースト上位から下位に転落した時、いじめこそありませんでしたが、毎日のようにヒソヒソと陰口を言われたり、
バカにされたりして生きた心地がしなかったです。
みじめな気持ちで学校生活を過ごした後、両親が何事もなく接してくれたのは救いでした。
スクールカーストは、思いもよらぬところから救いの手が伸びることがあります。
私が3軍出身の劣等感から一夜にして解放されたエピソードは以下の記事に記述してあります。
担任に相談(うちの子を上位にしたいんですけど等)してはいけない
まあ、これは論外ですが、念のために記しておきます。
この問題に限らない話ですが、教師に何かを相談する時に担任をアテにしすぎるのもオススメできません。
彼らも人間ですし、生活があります。
教職という仕事がとんでもなく激務であります。
それに加え、何かあったときに責任を問われることも多い職業です。
にもかかわらず、一度採用されたらよほどのことがない限り身分は保証されています。
そんな人が、ただ1人の生徒のために親身になってくれるでしょうか?
もちろん指導レベルが高く、人格的にも円満な教師も存在しているとは思いますが、例外的な存在ではないでしょうか。
私の経験では残念ながら素晴らしい教師にはただの1人も出会えなかったですね。
周囲に聞いてもそうでした。
絶対にしてはいけない⑧オタク趣味を否定すること
勉強はおろか生活に支障がきたすような廃人レベルならば話は別です。
お小遣いの範囲を逸脱した金銭感覚を持つのも論外ではありますけれども。
ですが00年代以降のアニメやゲーム文化は、80~90年代くらいのドラマやバラエティ番組くらいの若年層の話題と言ってもいいのではないでしょうか。
もちろん、興味のない人は徹底的に興味がない文化ではあります。
それを考慮しても、オタクに対する見方で親世代と子世代で温度差があるのではないでしょうか。
特に30代後半~40代のご両親だったら、オタク迫害時代と重なるため、わが子のオタク趣味を恥ずかしく感じる人も少なくないのでは。
さすがにマスコミでもオタク=犯罪者予備軍というレッテル貼りは聞かなくなりました(?)が、民間レベルではまだまだ根強いのではないでしょうか。
つい先日も、40代くらいの美容師が「息子がオタクでキモイ、やめさせたい」という旨の話をしていたので、やんわりと否定しましたが、なかなか先入観はなくならないですね。
確かに一部のアニメの極端なデフォルメは、興味のない人に徹底的な嫌悪感を与えることは否定できません。
実際にはマスコミ等で描かれるステレオタイプのオタクにネガティブなイメージがありすぎるだけだとしても。
この手の文化にどっぷり遣っていながら、官僚をしていたり超有名IT企業に勤めている人もいますからね。
逆にオタク文化を通じて、他者に理解を示せたり、倫理観を学んだり。
勉学に差し支えないのであれば大いに結構だと思います。
個人的には、犯罪や恋愛がらみでドロドロしていてネガティブな感情をぶつける一部のドラマや邦画などよりもよっぽど健全な娯楽だと思いますけどね。
まとめ
禁則事項ばかり並べて息苦しい内容になってしまったかも知れません。
ご家庭の教育方針を否定する意図は全くありませんが、お子さんが心配なあまり過度に干渉するのは逆効果の可能性があります。
ご自身がスクールカーストに嫌な思いを持っているなら尚更です。
誰にも相談できるような事柄でもないので、この情報が少しでも参考になればと思いました。