エーテルの歴史について、古代ギリシアから中世ヨーロッパを経て、現代ファンタジーに至るまでの変遷を述べています。
化学物質から空想の魔法元素としてエーテルがどう移り変わっているのかを、80年代から10年代まで、時空を超えて巡り合った4人のオカルト研究会のキャラクターが考察しています。
エーテルとは何か?
エーテルとは、神学と物理と化学と音楽のタイトルや架空の物質などに幅広く用いられる単語です。
具体的にはかつて信じられていた第五元素であり、物理学上ですたれてしまった理論でもあり、ファンタジー小説などで用いられる魔法原理でもあります。
現代音楽の作曲家トリスタン・ミュライユが1978年に作曲したフルートとアンサンブルのための音楽作品や日本のバンド・レミオロメンのアルバムタイトルにも使われています。
このように、化学からファンタジー小説まで一見何の脈絡もないものに使われている「エーテル」という言葉の響きには、どこかロマンチックな響きがあります。
エーテルの語源はアイテール
◆古代ギリシアで『アイテール』は、空気の上層を表す言葉として、雲や月の輝く領域、あるいはゼウスの支配する領域を意味する言葉として用いられました。
火、水、風、土の四大元素に加え、不変の天上を構成する第五元素であるとして哲学者アリストテレスは提唱しました。この考え方はスコラ学に受け継がれ、また中世のキリスト教的宇宙観においても「天界を満たしている物質」=「エーテル」として後世まで広く認知されることになりました。
17世紀以後の物理学でも、「エーテル仮説」はニュートン物理学の矛盾を埋める仮説として、光を運ぶ媒質として、まっとうな学問に浮かび上がりました。
デカルトなど名だたる物理学者や数学者、天文学者が研究を続けてきました。
「エーテル」は主に三種類あります。
①古代ギリシアの第五元素
②物理学上で廃れた理論(光の)媒質
③化学上の有機化合物。
そしてエーテルは架空世界の媒質へ
ゲームやアニメの世界では、魔法の媒体として現在も活用されています。
◆フィクションの世界で『エーテル』が多用される理由を考える
まとめ
アリストテレスによって提示された第五元素が、物理法則の名称に使われ、そして特殊相対性理論によって否定されてしまう『エーテル』
ところがSFや魔法の概念の用語として架空世界で花開き、21世紀のネット時代を駆け巡ります。
その理由は神秘的な語感と、歴史上でも『実在を信じられていた物質だった』というリアリティが、ファンタジー世界に説得力を与えてくれるのでしょう。
『エーテル』とは数奇な運命をたどった概念であると言えましょう。