ムー展にて

オカルト研究

月刊『ムー』が40周年を迎えられた理由 スピリチュアル本や自己啓発本との違い

月刊誌『ムー』(MU)とは

月刊ムーとは学研プラスが発行している雑誌です。1978年に創刊され、2019年に40周年を迎えました。

主な記事はUFO、超古代文明、UMA(未確認動物)、超能力や超常現象、陰謀論、いわゆるオカルト全般を扱っています。

キャッチコピーは「世界の謎と不思議に挑戦するスーパーミステリーマガジン」

出版不況と言われ続けて早20年。その間、名だたる有名雑誌の休刊も相次いでいます。出版という文化そのものが転換点を迎えつつある中でも、ムーは長く愛されています。なぜでしょうか?

十念 絵馬
みなさんはもちろん月刊ムーを読んでますよね?
零乃瀬 知里
実は、まともに買って読んだことない
九重 直行
中学の頃に読んでいたけど、止めてしまったな
八十島 小夜子
えっ? わたしはほぼ毎月講読して読んでるけど…
僕は一応読んでますよ
オカルト雑誌が40年も続くのってすごいことね
70年代~80年代のオカルトブームってすごかったのよ

 
どんな人が読んでるの?
読者層についてはこちらのサイトを参考にさせていただきました

『ムー』は定期的な購入者が50~60%程度いらっしゃる固定ファンの多い雑誌です。

引用元 HONZ 『月刊ムー』を読んでいるのは、どんな人たちなのか?

なぜ『ムー』だけが続いたのか

『ムー』以外でもオカルト雑誌は『月刊マヤ』『トワイライトゾーン』などなど、けっこう色んな雑誌が売られていたわ
だが90年代には、ほぼ『ムー』一強に絞られる
そんな『ムー』でも、創刊当初は売り上げが伸びず、苦戦したそうよ
版元が学研ということもあり、当初は高2コース向けの内容だったそうですね
創刊号は「宇宙時代のヤングに送るスーパー雑誌」の誕生だったわ
部数の低迷を打開するために大人を意識するような内容にしたら売り上げは倍増したとか
読者のことを「ムー民」と呼んで、すごくアットホームな雰囲気があったよな
読者の交流スペースも充実していたし、イラストコーナーもハイレベルだったわ
80年代オカルト雑誌の文通コーナーのイメージ漫画
80年代オカルト雑誌の文通コーナーのイメージ漫画
『ペンパル募集』という文通相手を探すコーナーでは実名と住所が公開されていて「前世の戦士探し」が流行っていたんでしょ
知里さん、『ムー』を読んだことがない割には詳しいですね
ネットで流れてた情報だけど
漫画『僕の地球を守って』の影響はすごかったのよ
実名と住所が記載されていた件では新興宗教などの勧誘などもあり、いっぺん編集部を通す仕組みになったな
わたしが文通してた頃の一応のマナーって「初回は60円切手を同封してください」だったけど
前世の仲間探しが流行ったのは87年~92年頃までで、その後は落ち着いていったな
でもオウム事件以降でオカルトに対する状況は一変するのよね
この時代から99年のノストラダムスの大予言に向けての編集方針は、いかにポジティブに99年をやりすごすか、という方向性だったようです
『ムー』を読んでない人、オカルト懐疑派から見たら、世界の破滅とか終末をあおってるトンデモナイ雑誌に見えるかもしれないけど、実際は意外とフツーに面白い読み物が多いんだよ
結論ありきの推理や論理の飛躍はバカバカしいけど、昔の物語絵とか歴史書をふまえて斬新な解釈をしているところが読み物として面白いんですよね
十念は「信じてない」けど「面白がってる」読者なのね
これについては、人によるだろうな

スピリチュアル本と自己啓発本、ムーとの違い

一般的に、オカルトを信じている人は狂信的であるというイメージがありますが、少なくとも現在も『ムー』を購入している読者の多くは、純粋に「謎と不思議を楽しんでいる」人たちではないでしょうか?

一方で、思春期の中学生などが熱を帯びたようにオカルトに熱中した場合、大人になるにつれてその過去を恥ずかしがるようになり、『ムー』から離れていくのではないかと推測できます。

これに対し、スピリチュアル本や自己啓発本の読者の多くは、科学的な根拠はなくても、本に書かれた内容や効果を信じているのではないでしょうか? ( あえて批判的に読む人もいるでしょうが少数のはずです)

おれは中学の頃まではオカルトを本気で信じていたから、正直『ムー』的なモノを見ると恥ずかしく思う部分もある
その割にはアンタ、オカルト話に乗ってくるじゃない?
基本的には「謎と不思議」が好きなんだろうな
わたしは難しいことはよく分からないけど、あったら良いなって思うことは全部信じちゃう♪
雑誌『ムー』を作っている人たちは、実際どう思って記事を書いているのかしら?
16年に科学雑誌Newton(ニュートン)の公式アカウントがツイッター上にて挑戦的?なツイートをしました

十念 絵馬
これに対する、ムー編集部の答えがこちらです

十念 絵馬
ツイッター上での、科学雑誌Newtonとのやりとりを見れば、オカルト雑誌ムーが決して偏狭な価値観でオカルトを捉えていないことが一目瞭然でしょう
九重 直行
Newtonの方も度量があって、気持ちのいい対話だな

実際、『ムー』と『ニュートン』を併読する読者は多いといいます。科学とオカルトという、ある意味ではコインの裏表ともいえる微妙な関係性で人類の技術革新は続いてきました。

私見・『ムー』が続いた理由。

40年間『ムー』を支え続けた読者とは、オカルトを信じていてもいなくても、記事を面白く読める人たちなのだと思います。

そして、『ムー』の編集部はオカルトという文化的な「劇薬」を扱いながらも、時代に合わせて「読者を巻き込みながら」「面白く読めるように」最適化して提示することで、読者との信頼関係を築いていったのではないでしょうか。

九重 直行
そもそもオカルト雑誌が40年も続くのってありえないことだからな

編集部と読者との共存関係がうまく作用した結果が、奇跡のような40周年に結実したのだと思います。

個人的な意見になりますが、出版不況、メディア不振の原因のひとつに編集部(+作り手)と読者(=読み手)との意識の乖離があると思いますが、ムーに関してはこの点が非常にうまくいったのではないでしょうか。

読者投稿コーナーの充実にせよ、グッズ販売、『ムー展』等、うさんくさいようで意外としっかりしているのが『ムー』という雑誌だと思います。

ある意味で読者の側に、特殊なリテラシーを要求していると思いますが、長く続く読者はこの辺の機微を巧みに感じ取っていると思われます。オカルト=うさんくさい=トンデモ本! という図式では語れない、懐が深く面白いところが ムーの魅力でもあります。

月刊『ムー』はどんな人におすすめ?

世界や宇宙の謎と不思議に興味を持つ人ならば、楽しく読めると思います。懐疑派の方は、さすがに毎号ツッコミを入れながら読むのは疲れると思います。

オカルトを信じて大丈夫なの?

三上編集長を筆頭に、雑誌の製作スタッフはとてもバランス感覚に優れた方々だという印象です。記事の内容を真に受けるかどうかは読者次第です。私見ではありますが、熱狂的に信じた読者ほど、この雑誌から離れてしまう傾向があるようです。

十念 絵馬
「ムー」展のレポート詳細はこちらです

 

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