ヤンキーとオタクは正反対の存在と言われています。
良くも悪くも活動的で、威圧的な服装を好み、仲間と集まったり、祭りなど派手なことが大好きなヤンキー。
対するオタクは内向的な人が多く、少数のオタ友(オンライン含む)と趣味の世界に浸る人たち。
現実の世界では、ヤンキーにバカにされたり、いじめられたオタクも少なくないでしょう。
オタク=キモいと思っているヤンキーは非常に多いでしょう。
ヤンキー=怖いという印象を持つオタクもまた非常に多いのではないでしょうか。
その一方、ネット上ではオタクによるヤンキーへの罵詈雑言と嘲笑があふれ返っています。
そんな両極端な存在にも見えるオタクとヤンキーは、意外と共通点があります。
当記事では、オタクとヤンキーの共通点と相違点を取り上げてみました。
オタクとヤンキーの共通点
基本的に相反する行動パターンを持つオタクとヤンキーですが、けっこう共通の話題も多いものです。
たとえば、アニメ。
世間的にはオタク=アニメやゲーム以外のことに興味がない、ヤンキー=アニメに興味がないような印象があります。
しかし実際のところそうでもありません。
アニメに詳しいヤンキーも少なくはありません。
『新世紀エヴァンゲリオン』や『物語シリーズ』『魔法少女まどかマギカ』などオタク向けと言われるコンテンツもパチンコの台になってるので、本編を見ていなくても内容を知っているヤンキーもいたりします。
もちろんヤンキーだからと言って、全員がパチンコ好きとは限りませんし、ガチでアニメにハマる人もいるでしょう。
ヤンキー文化がすたれ、アニメ・ゲーム文化が広く一般化した10年代以降は、ヤンキー×オタクと言った対立軸も薄れてきました。
もちろん令和になっても、基本的にヤンキーとオタクは相いれない存在です。
しかし世間にこれだけオタク的コンテンツがあふれかえる状況で、ヤンキーが影響を受けない理由はありません。
ガチャなどで射幸心をあおるソシャゲとヤンキー文化は非常に相性が良いことも付け加えておくべきでしょう。
ですが、そもそも本質的な部分でオタクとヤンキーに共通点があると言ったらどうでしょう。
オタクとヤンキーが持ち合わせていて、一般人が持ち合わせない3つの特性を考察してみました。
共通点1「好きなものに貪欲であり、お金に糸目はつけない。中途半端は恥ずかしいという心意気」
ヤンキーもオタクも好きなものには貪欲です。
一般人が「この程度で十分だろう」というところを、彼らは良しとしません。
良かれ悪しかれ、好きなものにとことんこだわってみるという傾向は両者に共通しています。
ヤンキーで言えば、髪を金髪に染めただけでは足りずに、ピアスを何個も開けたり、タトゥーを入れたり。
バイクや車を改造するために、整備士の資格を取ったという人もいるでしょう。
コレクター的なオタクで言えば、グッズをコンプリートするのは当然として、同じオタグッズを保存用と観賞用と普段使い用の三用途で買ってみたり。
知識偏重のオタクならば、アニメ監督や声優さんの作品を時系列で追ってみて、表現の違いなどを考察したり。
ヤンキーの場合、ハンパな「気合い」の奴はナメられます。
オタクの場合ですと、「にわか」が下に見られます。
いずれにしても、中途半端な「格好つけ」や「オタク知識」をひけらかす者が集団内で評価されることはありません。
たとえ、当人がお金にものを言わせて高級車を乗り回しても、それだけでは仲間内から一目置かれることはないのではないでしょうか。
一方ソシャゲのガチャに数百万円を費やした場合はどうでしょう?
とにかく、一般人からしてみればドン引きレベルのこだわりを持っている点は両者に共通しています。
共通点2「何だかんだ言って非日常が大好き」
ヤンキーにとっての非日常は祭りであったりハロウィーンなどのイベントだったりするでしょう。
極端な意見ですが、彼らにとって日常は、祭りのための準備期間と言っても良いでしょう。
一方、オタクはどうでしょう。
同人活動に興味があるオタクですと、コミケやワンフェスなどのイベントが近づくと胸が騒ぐ人が多いのではないでしょうか。
もちろん作家活動している人であれば「〆切やばい」とハラハラする人もいると思います。
コスプレイヤーさんにとっても、イベントは自分の「大好き」が解放される特別な一日です。
一般的に、オタクはさえない日常を過ごしていると言われています。
これは、とんでもない誤解ではないでしょうか。
私たちオタクは学校や会社から帰るとゲームをしたりアニメを見たりラノベを読んだりします。
異世界に転生して無双する主人公に自己を投影したり、三国志の武将や、名もなき一兵士として戦場を駆けてみたり…
あるいは美少女がまったりする空間をのんびりと視聴して癒されたり…。
これはこれで、とても楽しいものです。
価値観の違いなので何とも言えませんが、少なくとも私も含めて多くのオタクとして充実した日々を過ごしています。
ヤンキーもまた、土曜日の夜のキラキラした感じや祭りに命を賭けているのでしょう。
この辺りの感覚は、確かに一般人とは少し違っていると思われます。
普通の人にとっては、祭りも土曜日の夜やアニメ視聴も「日常の延長線上にある」のではないでしょうか。
ヤンキーとオタクにとってのイベントは、もう少し日常と切り離された部分があるように思えます。
共通点3「仲間以外には排他的である」
オタクとヤンキー、両者ともに極端な嗜好を持っているので、同じような集団に対して妙な連帯感があります。
ヤンキー同士で時にはケンカをするとしても、根っこの部分は同族意識のようなものがあるかも知れません。
特にヤンキーを卒業した元ヤン同士だと、奇妙な仲間意識はより一層高まるのではないでしょうか。
これに対して、より排他的なのがオタクです。
推しメン・推しキャラひとつでも派閥があったりして大変です。
特筆すべきは『機動戦士ガンダム』のファンでしょうか。「宇宙世紀シリーズ」しか認めないという人たちがいます。
どちらかといえば年配の方に多いですが、1作目しか認めない派、連邦派、ジオン派、
冨野由悠季監督が関わっていないシリーズは認めない派等、非常にめんどくさい多種多様なファン層が多いのが特徴です。
この辺りの仲間意識と排他性は、一般人にはなかなか理解できないものではないでしょうか?
優等生とヤンキーのミスマッチコンビ
現実ではオタクとヤンキーにはあまり接点が生まれませんが、フィクションの世界では好対照のキャラクターとして作品に登場させるケースが見られます。
オタク、ではなく優等生まで枠を広げると、80年代の少女マンガから現在のWEBマンガまで、不良少年と優等生女子のラブロマンスは王道展開のひとつでもあります。
思いついたまま並べてみましたけれども、優等生とヤンキーのコンビは枚挙にいとまがないほど多く見られます。
と、いうのも商業マンガとヤンキーキャラの相性はバツグンに良かったからです。
なぜなら奇抜なファッションや金髪など、一目で主人公と分かるような特徴(ギャップを含む)を出しやすく、キャラも立てやすかったからに他なりません。
加えて読者に受け入れやすい下地があったので、編集会議の壁を越えやすい…なんてことも考えてしまいますね。
現在は単純なヤンキー主人公は敬遠される傾向がありますが、それでもヤンキー的なニュアンスはまだまだ日本人に好まれているのではないでしょうか。
オタクとヤンキーの違い
誰しもが分かる違いはファッションでしょう。
最近はリア充オタクといって、身だしなみに気を使った外見のオタクも増えてきましたが、ヤンキーファッションを着ているオタクはまずいません。
ヤンキーファッションとは、一言でまとめると威圧的な格好です。
同じ黒ずくめの服装でも、オタクが着る服とヤンキーの装いではまるで違うでしょう。
ファッションについては、パッと見て分かることなので、内面についての考察に移りましょう。
一言で言えば、オタクは知識や理屈を偏重するのに対し、ヤンキーは根性や気合い、仲間との絆を第一に考える点が決定的に違うところです。
と、言いたいところですが00年代初頭からの「キャラの可愛さ」「シチュエーション萌え」等を偏愛する層もいるので難しくなってきました。
乱暴にまとめて強いて言うならば、オタクの特徴は「理想主義的」あるいは「こうあってほしい願望」が強い人たちと言えるのかもしれません。
大切なものは二次元キャラだったり、特定のキャラのカップリングだったり、現実に存在しなくても良いのです。
対するヤンキーの願望は、あくまでも現実に根差しています。
家族を守りたい。成功して金持ちになりたい。○○がほしい。
オタクヤンキーという存在
非常にまれなケースではありますが、世の中にはヤンキーでありながらオタク気質を持ち合わせた属性の人も存在します。
オタク趣味はなく、自動車やバイクなど様々ですが、好奇心が非常に強いため好きなものに非常に詳しくなる傾向があります。
たとえば車種やエンジンなどについて非常に詳しかったり。のみならず、絵を描かせるとけっこう上手かったりもします。
マンガ雑誌などは読んだりしますが、単行本まで追いかけたりはしないタイプです。
なのに、妙に詳しかったりマンガ作品に対して独自の考察などをする人がいます。
ゲームなども、脈絡もなく流行りモノなどに手を出していきますが、
彼らが言う「コレおもしれぇ!」「これはダメだ」というポイントは意外と本質をついていることが多くあります。
名前は挙げませんが、見た目ヤンキー系のゲーム実況者が超有名RPGなどをプレイした感想で、
「行ける場所多くてもやれること少ねえな…」
「イベント前にロード長げぇのタルい」
けっこう鋭い意見を述べていたことを思い出します。
個人的な話になってしまいますが、私が以前一緒にビジネスをやっていた元ヤンキーの経営者がこのタイプでした。
もしかしたら、私に話を合わせようとしてくれただけかもしれませんが。
それでも、『STEINS;GATE』(シュタインズ・ゲート)のアニメを見て心の底から感動したそうですし。
「β世界線ってのは~」とか周りのギャル(?)に言ってドン引きさせていたので、オタクの素質はあったかなと勝手に思ってます。
シュタゲに興味をなくすのも早かったですが…。
そんな彼との交流があればこそ、当記事が生まれたと思うと、何とも言えないほっこりした気持ちになりますね。
まとめ
強引にまとめてみると、オタクとヤンキーの精神性に共通するのは「極端さ」への志向ではないでしょうか。
ファッションにせよ、行動にせよ、両者ともに「ほどほど感」とは縁の遠い人たちなのかなと認識しています。
しかしながら20年現在の日本ではヤンキー文化はすたれ、アニメやゲーム等のオタク・コンテンツは広く一般化しました。
単純なオタク×ヤンキーという分類も過去のものになりつつあるのではないでしょうか。
中間地点として、マイルドヤンキーやリア充オタクを挙げてみると分かりやすいかも知れません。
あるいは、陰キャや陽キャといった分類の方が時代の空気を捉えていると言えるのかもしれません。
両極端の存在であったオタクとヤンキーも、時代と共に変質していく様子をとても興味深く思っています。