00年代のおすすめ日本のアニメを16本に厳選しました。マニア・オタク向けのラインナップです。
00年代(平成11~21年)という時代の特徴もザックリと解説し、その年代を象徴するようなアニメを紹介しています。
00年代アニメの特徴とは
大ざっぱに言ってしまうと、「セカイ系」から「日常系」「空気系」への転換期だったと言えるでしょう。
「萌え」という言葉が定着し、ひとり歩きを始めたのもこの時代です。
しかし一般層にはスタジオジブリ制作の劇場公開作品や、定番の人気シリーズが安定した強さを見せていました。
『クレヨンしんちゃん』『名探偵コナン』『ドラえもん』などが十~数十億円規模の興行収入を記録し、邦画ランキングの常連となりました。
技術的にはCGの普及で作画および着色の手間が減ったことも挙げられます。
手書きアニメの良さが失われたものの、それまでの劇場公開アニメ、一部のOVAに限られていた緻密な背景や群衆シーンなど全体的な描き込みは底上げされました。
また3DCGの導入で、これまでにないメカやロボットなどの表現が可能になりました。
アニメの話数のそれまでの4クール(全50話前後)朝夕のキッズや少年漫画原作のアニメは縮小傾向が見られます。
深夜アニメが普及するとともに、2クール(全24話前後)ないし1クール(全12話)で、コンパクトに一作品がまとめられたものが放送されるようになりました。
また、アニメ化に際しての原作もこれまでのような大ヒット漫画だけでなく、ライトノベルや萌え4コマ漫画などからも幅広くアニメ化されました。
私見に過ぎませんが、00年代のアニメの特徴はこのようなモノであったと認識しています。
そうした中で、00年から09年までの日本のテレビアニメ・劇場公開アニメ・OVAの中からベスト16を厳選しました。
00年代に起こった日常系アニメというジャンルはなぜ定着したのか
日常系とは言葉の通り、ささやかな日常を描いたアニメ作品です。
アニメでよくある巨大ロボットに乗って世界を救ったり、怪物になってしまったヒロインを助けたり、というダイナミックな展開はありません。
また内面的にもキャラ同士の恋愛や、強い感情が爆発する場面を描かない平穏な日常をモチーフとしています。
日常を描いたアニメと言えば古くは『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』などアニメファン以外にも広く知られていたものです。
これに対し、4コママンガが原作の『あずまんが大王』「月刊コミック電撃大王」(メディアワークス)連載作品や、
『ひだまりスケッチ』『けいおん!』「まんがタイムきらら」(芳文社)連載作品などのアニメは日常系と呼ばれ、00年代に広く定着しました。
ほのぼのアニメと違う点は、登場人物のほとんどすべてが可愛い女の子である点です。
口うるさい母親キャラやイケメンを含めた男性キャラなども注意深く取り除かれ、やんわりとした空気感が作品を覆っています。
たとえば90年代を代表する『エヴァンゲリオン』『セーラームーン』にも日常シーンはありましたが、メインはあくまてもストーリーだったり戦闘シーンだったりします。
これは放送時間も関係しているのではないでしょうか。
00年代のテレビアニメは、主に深夜枠に放送されていました。
その理由はアニメのビジネスモデルが、スポンサー企業の商品(主に玩具や菓子)を売るものからビデオやDVD等アニメそのものを販売するものにシフトしたからです。
ここにテレビ局の事情(視聴率の問題)や放映権料などが重なり、ひとつの答えとして行きついたのが深夜枠のアニメ放送でした。
のんびり・ゆっくりとしたアニメの中でキャラを愛でるという楽しみ方のフォーマットは、深夜アニメを見る視聴者の気持ちとフィットしました。
00年代の日本は「失われた10年」「構造改革」「非正規労働者の増加」「デフレ経済」など、社会に不安が蔓延していました。
元々アニメにハマるような層は内向的な人が多いでしょう。
そんな人たちが社会に出て働き、家に帰る頃にはへとへとに疲れ切ってしまっているでしょう。
破天荒なストーリーや極端なキャラ付け、過剰な演出なんて疲れるだけ…
努力や誤解や葛藤なんてものは、大人になれば現実の世界で身に染みているでしょう。
嫌な展開がないアニメ
というのは、それだけで救いなのかもしれません。
真面目に見なくても女の子たちの平和な音が聞こえてくるだけで十分で、BGM替わりにつけっぱにしてる場合も多い。
アニメで心を揺さぶられたいわけでもなく、笑いたいわけでもなく、感動したいわけでもなく、熱い展開を求めているわけでもない。
日常系アニメに対し、ある種の「癒し」「なごみ」のようなものを求めた視聴者層は多かったのではないでしょうか。
ちゃんと見ると芸は細かく、京アニが制作した『けいおん!』など相当に作り込まれていることが分かります。
「萌え」などという単語で一くくりにされがちですが、日常系アニメのヒットと定着にはこのような背景もありました。
これに対して古い世代のオタクたちの反発もあったりして、00年代後半以降はオタクの世代間や嗜好ごとの根本的な認識のズレなどが起こるようになりました。
00年代アニメランキング16
選出のポイントは以下の要素です。
・その時代でしか表現できないテーマ
・社会的な影響力(売り上げ・類似作品を生み出した力)
・作画やキャラ等の革新性
90年代アニメの私的ランキングでは若干マニア向けのラインナップだったような気がするので、今回はできるだけ有名作品を選んでみました。
とはいっても、人によっては「違うだろ!」と思われるかもしれませんがご了承ください。
参考までに平成時代のオタクカルチャー、90年代アニメについては以下の記事を参照ください。
第16位 無人惑星サヴァイヴ(03年)
全52話。NHKで放送されたテレビアニメです。
これは昔ながらのフォーマットの少年少女漂流記です。
キャラクターデザインは江口寿史氏。
ですが、作中ではそれほど各キャラに「江口らしさ=都会的なポップさ」は感じません。
物語が惑星探査のSFテイストということもあるでしょう。
マイナーな作品ではありますが、とてもていねいに作られたアニメです。
いわゆる「日常系」とは正反対の立ち位置です。
見ていて疲れる、という人もいるかもしれません。
それでもあえて16位に選んだのは、オリジナル企画で、古き良き正統派ジュブナイルという点でしょうか。
第15位 ルパン三世VS名探偵コナン(09年)テレビスペシャル版
日本テレビ開局55周年と読売テレビ開局50周年の開局記念スペシャル番組。
映画版も面白いのですが、第1作目の高評価ゆえの劇場版ですのでテレビ版を評価させていただきました。
選出理由は、タイプの違う作品を上手くまとめた点に尽きるのではないでしょうか。
ビッグタイトル同士のコラボ映画はそれぞれファンがいる中で、どちらにも満足させる展開にしないといけないので難しいでしょう。
各キャラクターごとに見せ場を作り、キャラ設定や世界観の整合性も持たせなければなりません。
キャラの等身や絵柄も違うので、同一の画面に収めるときの調整は地味に苦労したのではないかと思います。
世界観をルパンに寄せるかコナンに寄せるかでも内容は大きく異なるため、バランス感覚が要求されます。
細かいところでは色指定なども大変だったのではないでしょうか。
第14位 攻殻機動隊S.A.C.(02年)
全26話。制作はプロダクション I.G
CS放送スカパーのパーフェクト・チョイスで初めて放送されました。
士郎正宗氏による原作マンガ『攻殻機動隊』や押井守監督の映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』とは主人公のキャラ設定や時代設定が微妙に異なります。
エヴァ以前のオタク・カルチャー最重要作品の一つであった「攻殻」は、何度となくアニメ化されています。
興味深いのは「攻殻~」のタイトルと基本設定は同じながら、リメイクではない点でしょう。
比べてみることで、各監督の作家性もそうですが、その時代ごとの情報技術や問題意識が垣間見られるのは非常に興味深いところです。
第13位 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦(02年)
劇場用長編アニメーション。監督は原 恵一(はら けいいち)氏。
『クレヨンしんちゃん』のアニメ映画は、ファミリー向けの作品として作られていますが、制作者たちのこだわりが随所に光る作品になっています。
まず第一に戦国時代の風景や生活が、とても丁寧に描写されています。
印象的なのは本格的な合戦シーンです。
火縄銃を使うのに火ぶたを開く描写や、飛礫(つぶて)や、矢などの飛び道具から身を守る竹束などが描かれています。
観客が戦国時代の知識を持ち合わせなくとも、パッと見ただけで相当調べたのであろうことが伺える、説得力のある表現。リアリティ。
闇夜に浮かぶ兵たちのかがり火のシーン、合戦のスケール感は省略された絵でも十二分に「戦国時代の合戦映画」を感じ取ることができます。
ファミリー向けなので流血やグロテスクなシーンは当然ありません。
しかし過激な描写を行わなくてもリアルな合戦が描けるアニメーターの力量、そして演出に舌を巻きました。
この作品を原案として実写映画『BALLAD 名もなき恋のうた』(09年)が公開されました。
主演は草彅剛さんと新垣結衣さん。監督は山崎 貴(やまざき たかし)さんです。
内容に触れるのはここでは避けたいと思いますが…。
個人的には、『嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』『BALLAD 名もなき恋のうた』よりも、原 恵一監督の元々のプロットつけたタイトル『青空侍』がベストだと思います。
興行的に(タイトルのインパクトが)弱いという理由でボツになったそうですが、内容的には『青空侍』がぴったりだと思います。
第12位 ほしのこえ(02年)
新海誠監督の短編アニメーション映画。監督・脚本・演出・作画・美術・編集等ほとんどの作業を行いました。
異星人との宇宙に旅立った少女と地球に残った少年の遠距離恋愛を携帯電話のメールを通じて描いています。
センチメンタルという言葉を批評で使う際は、ネガティブな意味合いで使われることも多いのですが、新海誠作品に関しては美しい映像とも相まって彼独自の作風にまで昇華している点が特徴です。
第11位 電脳コイル(07年)
第26話。NHKで放映されたテレビアニメ。マッドハウス制作。
アニメーターや絵が上手になりたい人は必見の作品。
磯 光雄(いそ みつお)氏の初監督作品としても知られていています。
磯氏といえば、エヴァンゲリオン劇場版『Air/まごころを、君に 』で量産型エヴァシリーズとアスカの戦闘シーンを手掛けた人物です。
正直言ってストーリーやキャラクターについては正直、賛否両論に分かれるかも知れません。
ただ、アニメーションとしての作画のすばらしさは本当に驚かされます。
原画集を模写するだけでも画力の向上に役立つのは間違いないです。
第10位 けいおん!(09年)
京都アニメーション制作。深夜アニメとして放送されました。
女子高の軽音楽部が舞台ですが、本格的なバンド活動の描写よりも、メンバーたちののんびりとした日常を描写することがメインのアニメです。
10年代の「日常系」への流れを決定づけたアニメ史での重要度はきわめて高い作品ではないかと思います。
選者によってはオールタイム1位でも決しておかしくはないアニメでしょう。
市場の規模やクリエイターへの(思想的な)影響力はガンダムやエヴァには及ばなかった本作ですが、間違いなくアニメの面白さの定義を広げた作品です。
たとえば、京都アニメーション制作で4コマ漫画が原作の『らき☆すた』(07年)ではキャラクターの等身が低く、コミカルな雰囲気が強調されています。
これに対し、『けいおん!』の描写は、背景も緻密に描かれ、キャラクターの表情も細かく表現されています。
アニメ『けいおん!』の大ヒット以前と以後で、キャラクターの見せ方や演出面でパラダイムシフト(価値観の転換)を起こしました。
スタジオジブリ作品や、『サザエさん』等のほのぼの系アニメを除いて、オタク向けのアニメの多くが「熱いバトル!」とか「ドラマチックな展開」「過剰なサービスシーン」のような描写に傾いていました。
たとえるならば、オタク向けアニメは恐竜のようなものかもしれません。
体長10mもの肉食恐竜ティラノサウルスは派手でカッコいいかも知れませんが、恐竜に興味がない人から見たら
誤解をおそれずに言えば、恐竜的進化を遂げていたアニメ界に、もうひとつの進化の道(ほ乳類的な何か)を示したエポックメイキングであると思います。
オタクへの偏見が変わってきたのも、この作品あたりからではないでしょうか?
『けいおん!』のヒットによって間違いなくアニメ視聴者層の幅は広くなりました。
良くも悪くも、旧来のオタクたちが持っていた狭い価値観が、主流ではなくなるキッカケとなった作品ではないかと思います。
第9位 コードギアス 反逆のルルーシュ(06年)
全25話+総集編2話 サンライズ制作のテレビアニメ。MBS・TBS系列より放送。
08年には続編『コードギアス 反逆のルルーシュR2』が放映されました。
世界の3分の1を支配する超大国「神聖ブリタニア帝国」に対し、一人の少年が復讐を抱き戦いを起こす物語
現実とは違う歴史をたどった世界(地球の5大陸等の地理はほぼ同じ)で、植民地となった日本(名称はエリア11)が舞台となっています。
本作品の特色は、主人公ルルーシュの立場が悪役側となるアンチヒーローものな点です。
第8位 サマーウォーズ(09年)
劇場公開長編アニメーション。細田 守監督作品
キャラクターデザインはエヴァの貞本義行氏。奥寺佐渡子氏の脚本。
主要スタッフはアニメ映画版『時をかける少女』に引き続いて制作されました。
長野県上田市を舞台にしながら、大家族の力を借りてインターネット上の仮想世界で起こったトラブルを解決していくという構成。
当時急速に普及していったSNSや仮想世界のアバターをモチーフにした作風は話題になりました。
第7位 マクロスF(08年)
『マクロスF』(マクロスフロンティア)は全25話のテレビアニメ。MBS・TBS系列で放送されました。
テレビアニメのシリーズとしては82年の『超時空要塞マクロス』94年の『マクロス7』に続くシリーズ25周年記念作品でした。
マクロスと言えば、可変ロボットによる高速アクション・歌・三角関係という要素を盛り込んだ特徴が挙げられます。
年代ごとに制作された作品は、それぞれの時代の空気を捉えていて、アニメ史として観るのもなかなか興味深い作品でもあります。
そして現在(20年)までのところ、この『マクロスF』マクロスシリーズいちばんの人気作と言っても良いのではないでしょうか。
09年には劇場版の前編『劇場版 マクロスF 虚空歌姫 〜イツワリノウタヒメ〜』
11年には完結編の『劇場版 マクロスF 恋離飛翼 〜サヨナラノツバサ〜』が公開されました。
テレビアニメ版と劇場版は設定や結末が異なっている箇所もありますが、監督の河森 正治(かわもり しょうじ)氏によれば「どちらが正史という訳ではない」とのこと。
第6位 パプリカ(06年)
劇場公開長編アニメーション。今 敏監督作品。
原作は筒井康隆氏によるSF小説。
他人の夢を共有する装置が研究所から盗まれてしまい、何者かに夢に強制侵入され精神を崩壊される事件が発生。
サイコセラピストの敦子は、犯人の正体・目的を探るというストーリー。
悪夢と現実が交錯する独特の映像体験は唯一無二でしょう。
第63回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門 正式出品。
クリストファー・ノーランが『インセプション』でオマージュするなど、海外のクリエイターにも支持された作品です。
今 敏監督といえば
”どこからが夢で、どこからが現実の境目は実はあやふや”
”社会も人の精神も幻想によって成り立っている”
デビュー作『パーフェクトブルー』や『東京ゴッドファーザーズ』『妄想代理人』『千年女優』からほぼ一貫したテーマで作品を作り続けてきました。
どれも傑作です。
10年に亡くなってしまったことが惜しまれる偉大なアニメ作家ではないでしょうか。
個人的には最も尊敬する作家なので6位なのは心苦しいですが、このタイプの作品は現在のアニメ業界の主流ではなく、万人におすすめできる内容でもないのでこの順位となりました。
第5位 化物語「物語シリーズ」(09年~)
原作は西尾維新氏のシリーズ小説です。アニメーション制作はシャフト。
アニメ『化物語』は全15話。
21世紀日本の地方を舞台とした、主人公の高校生 阿良々木暦(あららぎこよみ)を取り巻く少女たちの「怪異」にまつわる物語。
続く『偽物語』(アニメ化は12年)など、数多くのシリーズが制作され、劇場版『傷物語』三部作(16~17年)も公開されました。
原作小説の発表順と放映された順番と物語上の時系列が異なるので、様々な楽しみ方ができる作品ではないでしょうか。
公開順に見るのも良し、時系列順に見るのも良いでしょう。
西尾氏によれば「メディアミックス不可能な小説」というコンセプトで書いたそうですが。
個性的なキャラクターによるトリッキーな展開やラブコメ要素もふんだんにある作品です。
第4位 千と千尋の神隠し(01年)
スタジオジブリ制作の長編アニメーション映画。
興行収入300億円を超えた宮崎 駿監督作品の最大のヒット作で、邦画の歴代興行収入の第一位でもあります。
第52回ベルリン国際映画祭で最優秀作品賞である金熊賞を受賞。
第75回アカデミー賞長編アニメーション部門でもオスカーを手にしました。
その他、数々の世界中の映画賞を受賞した作品です。
なぜ、数ある宮崎 駿監督作品の中でも突出して本作品が評価されたのか、様々な意見があります。
ひとつとして比喩や暗喩などのメタファーが重層的に重ねられた物語構造が挙げられるでしょう。
異界に迷い込み、豚にされてしまった両親を助けるため湯屋で働く主人公の千尋。
千尋を助ける謎の少年ハクや、本当の名前を忘れると元の世界に戻れなくなるという世界観。
湯婆婆(ゆばーば)やカオナシなど一度見たら忘れられないキャラクターも印象的です。
緻密な背景や説得力のあるアニメーション表現を支えたスタジオジブリという、圧倒的な作画能力と演出力に優れたアニメーター集団の凄さは言うまでもないでしょう。
第3位 天元突破グレンラガン(07年)
全27話。ガイナックス・アニプレックス・コナミデジタルエンタテインメント製作の派手なロボットアニメ。
テレビ東京系列で放映されました。
脚本とシリーズ構成を務めた中島かずき氏は劇団☆新感線の座付作家で、10年まで双葉社の編集者でもありました。
監督の今石洋之氏の「ドリル」に着想を得たアイデアから、中島氏の「進化と宇宙での象徴である螺旋」というテーマが合わさり、主人公シモンの成長物語が描かれます。
このあらすじだとサッパリ意味が分からないかもしれませんが、めちゃくちゃな勢いのある過剰なエネルギー溢れる作品です。
また、ところどころにアニメ界の巨匠・出崎 統監督へのパロディやオマージュに満ちているのが、分かる人にはニヤリとさせられるところです。
第2位 ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破(09年)
エヴァンゲリオン劇場用長編アニメーション作品の二作目。総監督は庵野秀明氏。
95年に放送された『新世紀エヴァンゲリオン』のストーリーを元にしつつ新たな機体やキャラクターが登場した劇場用長編アニメです。
当時のアニメーション技術の最高峰の作品で、「セカイ系」の到達点ともいえる完成度ではないでしょうか。
第1位 涼宮ハルヒの憂鬱(06年~)
京都アニメーション制作のテレビアニメ。深夜枠での放送でした。
原作は谷川 流(たにがわ ながる)氏によるライトノベルシリーズ。
ごく普通の男子高校生のキョンと、いつも騒動や非日常の渦中にいる女子高校生・涼宮ハルヒをめぐる物語。
06年のテレビ放送時では、原作の発行順や物語上の時系列と異なる順序で放送されました。
その後09年放送時には時系列で放送。
なぜ、名だたる00年代の中から、本作品を1位に選出したのか?
「セカイ系」から「日常系」への橋渡し的な作品として、重要な位置を占めるものだと認識しているからです。
ハルヒは確かに大ヒットはしました。が、ガンダムやエヴァのような社会現象にはならなかったし、『けいおん!』のようにコンビニとコラボもしなかったと記憶しています。
それでもエヴァ→ハルヒ→けいおん…という90年代から00年代~10年代に向けてのオタク向けの人気アニメの流れを見ると、ターニングポイントではなかったでしょうか。
『新世紀エヴァンゲリオン』に代表される自意識過剰な主人公(個人)と世界との対比を描いた物語構造を持つ作品群です。
ポイントは個人が帰属する先として社会があるわけではなく、より抽象的な世界(セカイ)に直結している点でしょう。
そうした中で、「キミと僕と世界」を中心に語られる物語がセカイ系です。
「望みが叶わないなら、壊してしまえ!」と自暴自棄で世界を破滅させるという極端な展開になりがちなのもセカイ系の特色です。
まとめ
私見ではありますが、00年代を象徴するような作品を厳選してみました。
残念ながら00年代で紹介しきれなかった素晴らしいアニメもたくさんあります。
今回この記事を執筆する上で、改めて各作品を視聴しましたが、それまでは気づかなかった細かい演出など理解できることが多かったですね。
やや駆け足になってしまった感もありますが、機会があれば気になった監督や作品の詳細を取り上げてみたいと思います。