中二病とは思春期に起きる背伸びした言動や、自意識過剰の振る舞いを差す言葉としてすっかり定着しました。
令和時代になって、やや「中二病離れ」のような現象や低年齢化も起こっていますが、目立たなくなっただけで、本質的には変わっていないように思えます。
大きく3タイプに分類できる中二病の種類とその特徴を解説していきます。
この記事を書いている私は、かつて中二病でした。
それも邪気眼系と呼ばれるもっとも恥ずかしい類の種類です。
経験者だからこそ分かる「中二病になる心理」も分かりやすく解説します。
中二病とは何か
学校教育の中学2年生頃、13~14歳くらいの少年少女に起こる背伸びした言動や極端な行動、奇矯なふるまいなどを総称して呼ばれるようになった言葉です。
一方、ヤンキーとはいわゆる不良っぽい人たちの総称です。
現在では減少傾向にありますが、80年代~90年代にかけて若者文化の主流ともいえる位置づけでもありました。
ヤンキーはおおよそ中学2年生頃、13~14歳くらいの少年少女が髪を染めだしたり、奇抜な格好をして仲間たちと夜の繁華街をたむろしたりします。
未成年でありながら法令違反をする者も比較的多く、反社会的な集団と関係を持つ者も一定数いるようです。
最近の傾向では外見上はヤンキーでも法律違反は起こさない「マイルドヤンキー」と呼ばれる存在にも注目が集まりました。
ヤンキーについてはこちらの記事をご覧ください。
中二病とヤンキーは同年代に発症する
中二病とヤンキーの共通点と違い
中二病とヤンキーに共通するのは…
「自分は特別な存在だ!」
「そんな自分はカッコいい」
「そんな自分を認めてほしい!」
…という強烈な自意識と承認欲求です。
ヤンキーにもその傾向はありますが、先輩や後輩などの仲間内での人間関係での優劣が中心となります。
一方、中二病は自己の内面に抱える感情が大きく、肥大化した自意識が自己完結している傾向があり、それがヤンキーとの最大の違いといえます。
どちらも思春期の不安定な精神に起因している現象ですが、ヤンキーは外に向かって放たれるのに対し、中二病は自己の内面に向かう傾向があります。
※中二病3タイプ分類は塞神 雹夜・著『中二病取扱説明書』を参考にさせていただきました。
①サブカル系
外見上は普通の中学生ですが基本的に斜に構えており、流行とは違う趣味・趣向を強調し、自分が個性的だと主張します。
軽度の人はほとんど反抗期と区別がつかないため、人数でいえばもっとも多いと思われるタイプです。
具体例
◎漫画や音楽など、売り上げランキング上位のモノを「売れ筋だから…」などと馬鹿にして、あまり知られていないジャンルのものを面白がる
◎相手をまず否定。自分の意見を押し付けてくる。「でも」「っていうより」「いや、違う」などの言葉を多用する
◎斜に構えているようでも流行のものが気になって仕方がない。
1980年代の日本で興った思想などの新たな潮流のこと。ニュー・アカデミズム(New Acadenism)の略。
コトバンク 知恵蔵miniの解説より引用
②反社会系
ヤンキーとも通じる価値観ですが、犯罪行為には至らないケースが多いです。
ヤンキー、およびマイルドヤンキーとの違いは、周囲とのつながりが薄く、空気を読まずに虚勢を張る傾向があることです。
反社会的な興味を内に秘め、公言しないタイプもいるので外見や言動からは分からないケースもあります。
具体例
◎ケンカをしたこともないのにケンカ自慢。「他校の生徒10人を返り討ちにした」
◎警察や権力を嫌いだと公言。正義の味方やヒーローにも嫌悪感をむき出しにする。アンチヒーロー、ダークヒーローが好き。
◎独裁者や重大事件の犯罪者を崇拝したり、猟奇的な事件などに興味を示す。
③邪気眼(ジャキガン)系
自分が特別な存在だという思いが強すぎて、突拍子もない空想や設定を信じ込んでいるタイプです。
ネット上では最も目立っていますが、経験上3タイプの中ではもっとも少数派だと思われます。
本人が成長し、中二病を卒業したころになると思い出すのもおぞましい記憶(=黒歴史)となります。
具体例
◎自分は世界の命運を変えるほどの「力」を持っていると信じている。
◎自分が多重人格だと思い込み、妄想で作り出した架空の人格を制御しようと悪戦苦闘する。
◎こんな世界は間違ってると信じ、脳内で理想郷についてひたすら考える。
年代別あなたのクラスには中二病はいましたか?
実際には、住んでいる地域や公立と私立などの違いによって生徒数や価値観などは全く異なるとは思います。
ここでは、「都心から離れた地方の公立中学校」をモデルケースに論じてみたいと思います。
80年代 中二病はクラスに何人?
筆者の周りでリサーチした結果なので、統計的には参考にならないかもしれません。
80年代はヤンキー全盛期でもあるため、反社会系はカウントしようがありませんが、中二病発症者は圧倒的にサブカル系が多い印象でした。
もっとも、クラスで3~5人と、それ以降よりも圧倒的に少ない人数です。
90年代 中二病はクラスに何人?
90年代といえば、Jポップ全盛期、チーマー、アムラー等、陽の当たる文化や流行がマスコミを賑わせていました。
一方、洋画(単館上映アート系作品)、洋楽、渋谷系、モード等サブカル文化もまた全盛期でした。
これに加え、『幽遊白書』や、『FFⅦ』や、CLAMPの諸作品『聖伝』『東京BABYLON』、『新世紀エヴァンゲリオン』等、中二病に圧倒的な影響を与えるコンテンツが出そろってきました。
この結果、90年代は中二病が全体的に底上げされた時代であると言えましょう。
00年代 中二病はクラスに何人?
00年代になる頃には若者文化はネットカルチャーに席巻され、話題の中心がテレビからネットへ移る過渡期でした。
また、中二病という言葉そのものが一人歩きし、『コードギアス 反逆のルルーシュ』『DEATH NOTE』(デスノート)などのコンテンツも多くの若者を中二病に導きました。
10年代『若者の中二病離れ』
10年代といえば『STEINS;GATE』(シュタインズ・ゲート)『中二病でも恋がしたい!』等、中二病そのものを描いたコンテンツが市場に溢れたため、中二病が一般化したことが特徴です。
中二病とは無縁のコンテンツとは?
現在進行形で中二病、黒歴史を抱えている方へのアドバイス
改めて述べることでもないかもしれませんが、筆者もかつて重度の中二病でした。それも邪気眼系です。
ガチでオカルトを信じていましたし、ガンダムでいうところの「ニュータイプ」の概念も信じていて、四六時中誰かにテレパシーを送ってました。
また、そのような言動がクラスメイトにバレ、変なあだ名で呼ばれたりしたこともあります。
当時は何とも思ってなかったのですが、妄想から醒めた高校生の頃には猛烈に恥ずかしくなって参りました。
よくある話として、卒業後に会った同級生にからかわれたり、同窓会で笑いものにされた、など黒歴史をなじられるケースもネットなどで目にしますが、現在のところ筆者がそういう目に遭ったことはないです。
まあ中学の頃の同級生とは全く付き合いもありませんし、同窓会にも行かないので当然かもしれませんが。
何年か前、偶然町で会う機会があったときも別段なにも起こりませんでした。
大人になれば皆それぞれの生活があり、いつまでも中学時代の記憶になど浸れないものです。
たとえ、自分の過去の恥ずかしい言動を笑いものにされても、気にする必要はありません。
恥ずかしくなるくらい何かを信じたということは、それだけ感性が豊かであったと思いましょう。
そして、現在も恥ずかしいという方は、まだまだ瑞々しい感性をお持ちだということです。笑われる筋合いのものではありません。
自信をもって生きましょう。
黒歴史を抱えている方への参考になりましたら幸いです。
まとめ
○正反対に見えるヤンキーと中二病の共通点は、思春期の心の乱れに起因する。ヤンキーが外に関心が向かうのに対し、中二病は自己の内面に関心が向く。
○中二病は①サブカル系②反社会系③邪気眼系の3タイプに分けられる。
○90年代~00年代にかけて、先鋭的な文化を享受するのがサブカル系の基本スタンスだったものが、ネット出現以降は急速にオタク・カルチャー―に取り込まれていった。
○中二病文化もネットやメディアで消費され、小学生に広まるなど若年層化が進む。一方、中二病に対して忌避する傾向もみられる。