このたび小説投稿サイト『小説家になろう』にて、いわゆる「異世界転移モノ」の小説を連載します。
全十章(各章40~50話・1話約2000文字前後)くらいを予定しておりますので、けっこうな長編ではあります。
現在45話くらいまで書き進めており、6月27日(土)より公開しました。
大体17時~20時くらいを目安に毎日更新していく予定です。
一応1年くらいをかけて完結まで持っていけたらと思います。
告知と宣伝をかねて、このブログでも詳細をお伝えしようと思いました。
もっとも、当ブログは「内向的な人」に向けて書いております。
そうした方々が必ずしも「なろう小説」「異世界転移モノ」というジャンルに親しいわけではないということは承知しております。
この記事では、近況報告も兼ねて拙作『異世界召喚のアフィリエイター~転生した悪役令嬢と借金返済のための一攫千金ビジネスライフ~』を書くに至った経緯が記されています。
また、「異世界転生」と「異世界転移」の違い、文芸上のルーツ、ユートピア小説との相違点なども考察しています。
「異世界転生」と「異世界転移」の違い
一言で言ってしまえば、「異世界転生」は文字通り主人公が一度亡くなって、生まれ変わった先が異世界だったという設定。
これに対して「異世界転移」は、魔法で召喚されてしまったり、「どこでもドア」のような「転移ゲート」で転移したものが挙げられます。
帰れるか帰れないかもあるんですが、有名な転生モノでも現代社会に帰れてしまう作品もありますので一概には言えません。
ネタバレになりますので作品名を具体的には申し上げませんが。
「異世界転生」というジャンルは、2010年代に一世を風靡しました。
大ざっぱに言ってしまうと、現実世界では冴えない主人公がある日突然亡くなってしまい(トラックにひかれるパターンが多い)ファンタジー風世界に転生して英雄になったり大活躍するお話です。
『無職転生~異世界に行ったら本気だす~』や『転生したらスライムだった件』などが代表格でしょうか。
変わり種としては『蜘蛛ですが何か』や『この素晴らしい世界に祝福を!』なども「異世界転生モノ」に含めてしまっても良いでしょう。
※『Re:ゼロから始める異世界生活』は長月達平によるライトノベル。
誰もが作品を発表できる時代になって、一躍人気ジャンルとして脚光を浴びた「異世界転生モノ」
書く人も読む人も、ここまでこのジャンルが一大勢力を築くとは予想外だったのではないかと思います。
「異世界転生ブーム」の背景にあるのはおそらく「失われた20年」と呼ばれる日本経済の停滞や、ネットやSNSによって様々なことが可視化され、多くの人が「努力しても報われない社会」と思ってしまったことも挙げられると思います。
現実では夢を見られないから、せめて異世界で無双したい、モテモテになりたい、という願望が多くの読者の心に響いたのではないかと思います。
実はこの手の「人間が異世界へ渡る」という「異世界転移」の物語構造は、神話や古い物語などにも存在しています。
2世紀のギリシア人ルキアノスが167年頃に書いた架空の旅行記『本当の話』では、月旅行を扱っていて「世界最古のSF」とも呼ばれています。
桃源郷を描いた陶淵明(365-427年)の作品『桃花源記』も広義の意味では、異世界転移といっても良いかも知れません。
あくまでも私見ですが。
異世界ないしファンタジー世界とは書き手と受け手の「魂の奥底に存在している異界」と解釈しています。
たとえそれが、手垢のついたコンピューターゲームRPG的な「ファンタジー風」テンプレートだとしても、作者や読者がそこに没入したり自己投影している以上は、「魂の奥底に存在している異界」と言っても良いのではないでしょうか。
人々は苦悩と悲劇に満ちた現実から逃避しようとし、異界(あるいは仙境)を夢想しました。
あるいは、寓話や諷刺としても異世界を登場させたりしています。
童話や児童文学『ピーターパン』『オズの魔法使い』なども、異界モノと言って良いかも知れません。
近代文学ですと泉鏡花の諸作品からは初期の『龍澤譚』から代表作『高野聖』まで、異界の香りが漂ってきています。
古今東西、堅物から俗物までも含めて、人間にとって「異世界」は普遍的に興味のある存在なのだと断言します。
もくじ
「ユートピア」と「異世界」の違い
一方「異世界」を描いた作品が、大ざっぱに「ユートピア小説」という言葉で呼ばれてしまう事があります。
トマス・モアが1516年に書いた著作『ユートピア』で、ラテン語を組み合わせた造語です。
意味は「素晴らしく良い場所であるがどこにもない場所」だと言われています。
以来、作者が思い描く「理想郷」のような仮想社会を表す言葉として独り歩きしていった経緯があります。
反対語は絶望的な未来を描いたディストピア小説で、レイ・ブラッドベリの『華氏451度 』やジョージ・オーウェルの『1984年』などが挙げられます。
ユートピア(ディストピア含む)小説は、あくまでも「現実世界の社会問題の延長」として近未来や架空の国を捉えています。
これに対し、異世界モノのほとんどが「ここではない世界への追体験」に主題を置いています。
もちろん異世界モノで描かれるテーマの中には寓話や諷刺なども含まれますが、おそらく社会への問題提起という側面は少ないのではないかと。
『恥知らずと鬼畜令嬢』~異世界召喚されたアフィリエイターは悪役令嬢にコキ使われて成り上がる~あらすじ
さて、拙作『異世界召喚のアフィリエイター~転生した悪役令嬢と借金返済のための一攫千金ビジネスライフ~』ですが、タイトルが長いのは「なろうサイト」内での検索を意識したものです。
悪役令嬢というのは、当時流行していたキーワードだったりします。
あらすじは以下のようになります。
アフィリエイターの「俺」は32歳。ネットで広告ビジネスをしていたはずが、なぜか20歳の姿で異世界に召喚され、悪役令嬢の手先となった。
ネットなんて当然ない世界で「三カ月以内に3200万ゼニルの借金返済しないと死ぬ」呪い(?)をかけられた「俺」は、在庫処理に奔走する羽目に。
チート能力なしの「俺」が機転を聞かせて一攫千金成り上がり異世界転移モノです。
物語の舞台はラスボス撃破後の世界。
現代日本から転生した勇者をはじめとする数名の転移者たちによって魔王は倒されています。
一見平和だけど歴史的な社会構造の大変革の真っただ中で、異世界転移者と元の住人との文化対立に巻き込まれてしまったり、価値観の対立がテーマです。
まとめ・なぜ「小説家になろう」で、小説を発表しようと思ったのか
単純に言ってしまえば、「思いついた」としか言いようがありません。
5月のGoogleコアアップデート以降、検索エンジンに依存したブログ集客とは距離を置くことに決めました。
同時に、それまでのブログ記事を読み返していてふと思ったのが、評論ばっかりじゃなくて自分でゼロから物語を紡いでみたくなったこと。
「異世界モノ」にしたのは、数年前に『無職転生』を読んで心の底から感動したことも影響しているのかもしれません。
それプラス・アフィリエイターとして四苦八苦した経験も、何らかの形で物語に残しておきたい。
そんな思いから、三題噺のような恰好で着想を膨らませていきました。
漫画で描いても良かったのですが、いかんせんマンガ制作は時間が膨大にかかります。
依頼者様からの原稿依頼の合間に大長編マンガを描くのは時間的に厳しい。
他にも仕事してたりするので、とにかくエタる(完結しないで放置される)のは避けて完成まで持っていこうと。
と、いうわけで最初で最後の「なろう小説」です。
もしよろしければ「小説家になろう」内にて評価およびブックマークしていただけるとありがたいです。
また、こちらのブログに関しても細々と続けていきますので引き続きよろしくお願いいたします。