「意識高い系」は10年代に広まった俗語です。
高尚ぶった言動や行動で、身の丈以上に「自分を認めてほしい」学生や社会人などを揶揄する言葉として使われています。
一方で難題を真面目に取り組んでいる人を冷やかす意味でも使われるので注意が必要です。
本記事で取り上げる「意識高い系」の認識は、前者です。
この手の人たちは大昔からいました。
昭和、戦後に話を絞ると、いわゆるインテリ気取りなどと呼ばれた層です。
新進の気に満ちたポップミュージックなどの若者文化を愛好する男女は都市部を中心に独特の文化圏を作ってきました。
本記事は、そのような古今の「意識高い系」たちが愛好してきた音楽(邦ポップミュージック)に焦点を当てて、戦後の若者文化を語りたいと思います。
意識高い系の若者たちは、なぜ特定の音楽を愛好するのか?
「意識高い系」は、否定的なニュアンスで使われる言葉であることは確かです。
心当たりがあってもなくても「意識高い系ね~」と揶揄されたことのある方は、この表現に傷ついてしまうこともあったかと思います。
もっともらしく批判している意見も要するに「地に足をつけろ」「身の程を知れ」なので、大した批判には当たりませんけれども。
身の丈を知ることは確かに大切ですが、誰もが皆そうだと人類は進歩しませんからね。
故スティーブ・ジョブズの有名なスピーチ「Stay hungry. Stay foolish.」ではないですけど。
※当ブログでは、たとえ空回りしていても「意識高い系」の人をバカにしたり、批判したりする意図は全くありません。
私自身の見解は、たとえ自己アピールや承認欲求が動機であろうと、「誰かの役に立っているかも知れないので」社会貢献は有意義なことだと認識しています。
また、「意識高い系」に支持される特定のミュージシャンたちを批判する意図は全くありません。
むしろ、彼らの音楽表現は「深い表現」「オシャレ・洗練されている」からこそ、本当に意識の高い人たちから支持される、ある種の権威でもあります。
そうした権威性が「意識高い系」の人たちに安易な自己アピールにつながるのでしょう。
ファンを公言することによつて「趣味の良さ」をアピールできる音楽でもあります。
まずもって演歌やアニソンやヘヴィメタルやパンクロックが大好きだと公言する「意識高い系」はいないでしょう。
一周回って(これは意識高い系の常とう句でもありますね)小洒落たアニソンを愛好する意識高い系はいるかもしれませんが。
意識高い系のご用達の音楽と言えば、やはり洋楽が中心になるとは思いますが、本記事ではあくまでも日本のポップミュージックと「意識高い系」との関連を述べていきます。
意識高い系と本当に意識の高い人との違い
彼らの根底には「モテたい」「認められたい」「チヤホヤされたい」というフワフワした欲求があります。
それを「社会的に正しい」とされる活動で隠れ蓑にしていますが、基本的には自分への評価が第一です。
本来、成功するためには地道な努力や営業活動、ダメでも何度も立ち上がる根性が必要ですが、意識高い系は泥臭い活動を嫌う傾向にあるので、あくまでもSNS映えするスマートな行動を心がけます。
これに加え、むやみにカタカナ語を乱用したり、外見、内面を問わず第三者をむやみに否定したがるのが意識高い系の良くない点ではないでしょうか。
スマホアプリの使い方ひとつで「仕事ができない奴」などと決めつけられて鼻で笑われたりするのは目も当てられません。
意識高い系が嫌われるのは、ざっくり言えば結果も出せていないのに鼻持ちならない点でしょう。
これに対して本当に意識の高い人は、地味な努力をいとわない人たちです。
SNSで努力アピールしなくても毎日修練をし続けています。
もちろん結果が出ない時や失敗する時もありますが、彼らは挫けません。
たとえ笑われても、ちっともスマートでなくても、歯を食いしばって、ひたむきにやるべきことを続けていくのが意識の高い人ではないでしょうか。
意識の高いミュージシャンの共通点
例外はありますが、おおよそ次のような共通点があるのではないかと思われます。
ココが共通点
- 洋楽志向、テクニカル志向、楽曲のスタイル重視(さりげなく)
- 音楽性が幅広く、アルバムごとに作風をガラッと変える場合もある。
- 安易なラブソングを避ける傾向。
- 歌詞にこだわるか全くこだわらないか両極端。
- 衣装やメイクがナチュラル。極端ではないこと。
※決して布袋寅泰や故HIDEが意識が高くないと言う意味ではありません。むしろ幅広い音楽性と楽曲の完成度、ポップなセンスは意識の高いミュージシャンの系譜に連なるものです。
ただこの2人のファンを公言する「意識高い系」の人たちは(少なくとも私は)聞いたことがありません。
やっぱり極端に個性を打ち出したギターの持ち主は、敬遠されるのではないかと思います。
80年代「意識高い系」ご用達ミュージシャンは?
80年代のポップカルチャーの雰囲気を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
90年代・フリッパーズギターの影響力と平沢進の破壊力
00年代は東京事変、宇多田ヒカル、くるり、相対性理論… 逆に意識の低い曲って?
10年代「意識高い系」は
まとめ
いわゆる「意識高い系」に分類されるような、評価の高めなミュージシャンたちを年代別で考察してみました。
筆者のチョイスに異論はもちろんあるかと思います。
どうして○○に言及しないの? 等、ご不満な点も多々あるかとは思いますが、ざっくりとまとめてみた次第です。
興味深いのは00年代以降、ネットの一般化に伴い様々な音楽を耳にする機会や、インディーズで活動するアーティストを目にする機会も多くなるにつれ、改めて日本の音楽の奥深さと広さを思い知るばかりです。
わたしたち音楽好きは、ともすれば洋楽至上主義になったり、大メジャー大ヒット至上主義になったり、変な色眼鏡で国内のミュージシャンを見てしまいがちですが、今日もどこかで真摯に活動を続けているアーティストたちに深い敬意を寄せながらこの記事を終わらせたいと思います。